紳士服チェーン「はるやま」創業家の姉弟が骨肉の争い 売り上げ激減で創業以来最大の危機
「治山正史氏に経営させていては立ち直れませんし、同氏が社内にいては改革が進みません」
姉の訴えには何やら悲痛ささえにじむ。
紳士服チェーン「はるやま」を展開する業界大手、はるやまホールディングス(HD)の治山正史会長の姉で、創業家出身の岩渕典子氏が実弟に対して事実上の「解任勧告」を突き付けた。会社側が今月29日の株主総会で求めている正史ら現4取締役の再任に反対する株主提案に踏み切ったのだ。
実は姉弟は2年前から骨肉の争いを繰り広げている。2020年の株主総会では典子氏と創業者ではるやまHDの前身のはるやま商事社長・会長を務めた正次氏が創業家一族らをまとめて正史氏の再任に反対を投票。約49%の票を集めて正史氏を解任寸前にまで追い詰めた。
さらに昨年の株主総会前には典子氏が「社員・取引先が生き生きと働ける環境を取り戻すためには総会で弟を退任させねばなりません」などとする書簡を株主らに一斉送付。一部の機関投資家がこれに同調し、正史氏再任への賛成は57.55%にとどまった。