鉄のカーテンの内側はバーチャル? ロシアは政治に無関心な「受け身」の国民が支える
ロシアがウクライナに軍事侵攻した2月下旬以降も、プーチン大統領の支持率が下がらない。隣国で死なせた将兵数は国防省発表で1000人以上、英国推計で1万5000人。制裁や外国企業流出で、国内経済はぼろぼろ。それなのに政権は耐えられている。背景には、プロパガンダや世論調査改ざん疑惑だけでは説明できない、独特の「民衆心理」がありそうだ。
プーチンは戦争推進、国民は反対──。西側にいる楽観論者は、こんな「ゼロサム」で考えがちだろう。逆に「国民含めて全員悪」と決め付ける人すらいる。ところが鉄のカーテンの向こうの実情は、そんなに単純でもない。
われわれはロシアを「民主主義国家」と勘違いしているのではないか。そもそも政権交代を可能にする民主主義は存在しないし、選挙で実現したこともない。リーダーが交代するのは死亡や後継指名、あるいは政変の時くらい。ソ連時代から、選挙といえば、お上の決めた候補に正統性を与えるべく「承認」するだけの儀式にすぎない。日本人も選挙のことで他国にとやかく言えた口ではないと思うが、それにしてもロシア人はおしなべて「受け身」だ。