金利は高止まりへ…利下げ後の米国債券投資「メリットとデメリット」

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 米国金利(10年国債)が上限に達したとの見方が市場で強まっている。今後、利下げが行われると、債券市場はどのような影響を受けるのか。株中心の個人投資家が多いが、債券投資の妙味を見てみたい。

「最近、複数のIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)に話を聞いたのですが、国債や社債など債券を推奨する人たちが多かったんです。安全に資産運用したい富裕層向けなのかもしれませんが」

 そう話すのは、投資に詳しい経済ジャーナリストの向山勇氏。債券をポートフォリオのひとつとして推奨するポイントは「利回りでしょうね」と言う。

 国債は安全資産といわれるが、日本の個人向け10年国債(12月)の場合、年利0.46%(変動金利)と相変わらずの超低金利。100万円購入で年間4600円しか配当がない。なので投資対象の国債といえば米国債(10年国債)ということになる。

 コロナショック、ロシアのウクライナ侵攻も加わり、物価高が進んだ。先進国ではインフレ抑え込みのため、さまざまな金利の指標となる長期金利(10年国債金利)を引き上げ、現在4.5%である。

 安全資産にもかかわらず高配当株並みのリターンがあるため、“米国債バーゲンセール”とも揶揄され2023年初頭には人気となった。

 一方で債券価格は金利と反比例する関係にある。債券市場では金利が上がると債券価格が下がり、金利が下がると債券価格が上がる関係にある。低い利率の債券より、過去の高い債券に人気が集まるからだ。

 満期まで生の国債を保有する人には満額償還されるため債券価格は影響しないが、20年物国債など長期債券は、保有し続けずに売却する投資家も少なくない。そんな投資家にとっては米国の高金利は痛手となった。

 国債を組み込んだ金融商品である外国債ETF(上場投資信託)保有者は米国債利上げによる債券価格下落で含み損(評価損)を抱えた。ドルやユーロを調達して外債に投資してきた日本の地銀などの評価損もニュースになった。

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