有森隆
著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

大正製薬HD(下)「国際派」の4代目・上原茂氏がグループの真のオーナーへ

公開日: 更新日:

 正吉氏は50(昭和25)年、参議院議員(埼玉地方区)に初当選以降、連続5回の当選を重ねた。政界に軸足を移した正吉氏に代わって、正吉氏の妻で4代目社長の小枝氏(旧姓・土屋)が指揮棒を振った。

 正吉・小枝夫妻には実子がなかった。小枝氏は実兄・土屋澄男氏の次男を養子にし、後継者として育てた。それが現在の大正製薬名誉会長の上原昭二氏(96)である。

 昭二夫妻にも嫡子ができなかった。小枝氏は2人の孫娘を通して閨閥づくりに力を尽くした。長女の正子さんは、住友銀行頭取として関西の財界・金融界に君臨した堀田庄三氏の次男と結婚し、昭二氏の婿養子として迎え入れた。現在、大正製薬HD社長の上原明氏(82)である。

 正吉氏は子供がいなかったけれど上原の家名は残った。かわって小枝氏の実家である土屋家の血筋が後を継いでいる。これが大正製薬の同族経営の特徴だ。名は上原、血は土屋なのである。

 今は亡き小枝氏は、明氏の息子、茂氏を後継者として一本立ちした大きな木になるよう育てた。大正製薬グループのオーナーになるために残された一枚のカードが、株式を握ることだった。MBOによって茂氏は大正製薬グループの真のオーナーになったのである。

 上原家の家系図は正吉・小枝夫婦を初代、昭二氏(養子)が2代目、明氏(同)が3代目。茂氏はオーナー家の「4代目」と位置づけられている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「ちむどん事実婚」にSNS困惑…黒島結菜は女優として瀬戸際、宮沢氷魚の“惚れっぽい”過去発言も心配

    「ちむどん事実婚」にSNS困惑…黒島結菜は女優として瀬戸際、宮沢氷魚の“惚れっぽい”過去発言も心配

  2. 2
    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

  3. 3
    黒島結菜の妊娠&事実婚の前年に先輩・土屋太鳳が示した"お手本" 芸能界“デキ婚ラッシュ”へ

    黒島結菜の妊娠&事実婚の前年に先輩・土屋太鳳が示した"お手本" 芸能界“デキ婚ラッシュ”へ

  4. 4
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 5
    事務所の社長を自ら解雇…小林幸子はマスコミから袋叩きに

    事務所の社長を自ら解雇…小林幸子はマスコミから袋叩きに

  1. 6
    巨人の救世主になるか?緊急補強したヘルナンデスは10年以上マイナー塩漬けの苦労人

    巨人の救世主になるか?緊急補強したヘルナンデスは10年以上マイナー塩漬けの苦労人

  2. 7
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8
    フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

    フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

  4. 9
    「金」相場は歴史的な高騰に沸くけれど…次なる投資先に銀・プラチナはアリ?

    「金」相場は歴史的な高騰に沸くけれど…次なる投資先に銀・プラチナはアリ?

  5. 10
    キャンプバブルに浮かれすぎた?「スノーピーク」が99%減益で非上場化も…再編は波高し

    キャンプバブルに浮かれすぎた?「スノーピーク」が99%減益で非上場化も…再編は波高し