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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ああ、懐かしの癒やし系 新型16代目クラウンのセダンが復活して本当に良かった!

公開日: 更新日:

トヨタ クラウン(車両価格:¥7,300,000/税込み~)

 やっぱクラウンといえばこれだよね……久々に納得できる味わいの高級車に乗ることができた。新型クラウン(セダン)だ。かつてクラウンといえば、「日本を代表する高級車」であり「高級セダン」。

 しかし昨年登場した16代目は、時代の要請もあり大変貌。突如背高で流麗フォルムを持つSUVタイプのクラウン(クロスオーバー)へと生まれ変わったのだ。理由はセダンを踏襲した15代目の販売が奮わなかった事実と、クラウンユーザーの若返り狙い。

 今後のブランド継続を考えるとより若い人に乗ってもらわないとならず、そのためのコンセプトチェンジは避けられない。よって当時の豊田章男社長(現会長)の号令のもと、イッキに生まれ変わったのだ。

 だが面白いのは、新SUVコンセプトを見たと思われる段階で再び社長に「セダンを考えてみないか」と言われ、一度ポシャったクラウンセダン計画が復活したこと。しかも同時にクロスオーバー、セダンに加えてショートSUVのスポーツ、ワゴンボディーのエステートのクラウン4バリエーション計画が始まった。クラウンのSUV化計画は、いきなりクラウンマルチボディー化へと進化したのだ。

とにかく「癒やされる…」のひと言

 いよいよ去年9月のクロスオーバー発売から1年強、遂にスポーツとセダンが2023年11月に発売された。

 新型クラウンセダン最大の特長は他の3タイプがFFプラットフォームを使った4WDなのに対し、伝統のFRプラットフォームを使ったリア駆動車であること。エンジンは縦置きとなり全長は遂に5m越えの5.03m、横幅は1.89mにまで拡大。パワートレインは従来通りの2.5ℓハイブリッドと、トヨタミライ譲りの燃料電池システムの2種類。

 新型セダンは既存の年配ユーザーのフォローと同時に、トヨタの燃料電池普及計画の一端を担うことになったのだ。

 肝心の走り味だが、今回乗った2.5リℓハイブリッドはとにかく「癒やされる…」のひと言。車重は2020kgと2トン超えだが、システム出力は245psと十分。アクセルをゆっくり踏み込むとコンコンと豊かなトルクに押されるように進む。

 ステアリングフィールもFRならではの自然な味わいで、微妙なタッチがオヤジ心に突き刺さる。

伝統のクラウンセダンの走り味を思い出す

 何よりもイイのは、その癒やしに満ちた乗り心地だ。決してフワフワなだけの柔らかテイストではない。ショックの角が丸く、路面に吸い付くように、身体を無駄に踏ん張らずに走れる。言葉では言い尽くせないが、伝統のクラウンの走り味を思い出すのだ。

 価格は2.5ℓハイブリッド車が730万円、燃料電池車が830万円からと正直高額。社用車として買う人がほとんどだろうが、年配ファンには見逃せない懐かしの癒やし風味。

 一度は乗ってみたい新型クラウンなのである。

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