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有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

京成電鉄(上)オリエンタルランド株をめぐり、物言う株主に「資本のねじれ」を突かれる

公開日: 更新日:

「事業上のシナジーやその他のメリットがない」(アクティビストの主張)にもかかわらず、「OLC株を保有し続け、資金を成長投資や株式還元に回せないため、時価総額が上がらない」というのがパリサーの主張だ。悪循環に陥っているというのだ。

 パリサーが京成電鉄に求めているのはOLC株の全株売却ではない。「持ち株比率を15%未満まで引き下げる」というものだ。ここが重要なポイントだと解説する公認会計士がいる。

「京成電鉄にとってOLCは議決権所有比率が20%以上50%以下の持ち分法適用会社。その株式は貸借対照表上では時価評価されていない。パリサーが提案するように持ち株比率を15%未満に下げれば、OLC株は時価で資産に計上されることになる。売却益なども合わせると京成電鉄の資産は3倍以上になり、株価上昇にもつながる」という、とてつもないバラ色の話になるわけだ。

 23年10月31日の上半期(4~9月期)決算説明会で、京成電鉄は「OLC株は保有し続ける」と明言した。

 11月1日には京成電鉄の小林敏也社長とパリサーの創業者で最高投資責任者(CIO)のジェームズ・スミス氏のトップ会談が行われた。会談の内容は明らかにされておらず、京成側が「こういう道筋で、ねじれを解消します」と説明したかどうかも分からない。

 OLCの創業メンバーとして、東京ディズニーリゾートを世界に誇るテーマパークにしたという自負が京成電鉄の経営陣にはある。この自負が呪縛となっているとするなら不幸なことである。

 OLCの創業期にタイムスリップしてみよう。=つづく

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