“為替介入”には限界がある…「超円安時代」の賢い資産防衛術

公開日: 更新日:

日米金利差に惑わされるな

「円の実力が低下しているのが、そもそもの円安の要因です。そのことを頭に入れておいたほうがいい」(熊野英生氏)

 どういうことか。為替レートは需給バランスで決まるが、その要因はさまざまだ。現在の円ドル相場を動かす最大要因は「日米金利差」だと指摘されている。米国の金利は高く、日本はほぼゼロ金利のまま。ドルで運用したほうが資産は増える。

「ただ、金利差だけに目を奪われると為替動向が見えにくくなります。日本は2011年の東日本大震災以降、数年を除き貿易赤字です。これが為替相場に影響を与えているのです」(熊野英生氏)

 11年以前の日本は貿易黒字だった。この場合、輸入より輸出のほうが多く、外貨を円に交換する需要が旺盛。円買いが大量に発生し、円高傾向となる。貿易赤字は逆だ。円は売り需要のほうが上回るから、円安に向かう。

 22年の貿易赤字は20兆円を超えた。23年も9兆円の赤字だった。

「貿易赤字が続く限り、円安も続くでしょう。エネルギー政策などを転換しない限り、貿易黒字に戻すのは難しい状況です。世界的に脱炭素の流れが加速しているだけに、日本は厳しい立場に立たされています」(前出の市場関係者)

 円安の流れは止まらない。そう覚悟して資産防衛に動いたほうが賢明といえそうだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    早期・希望退職の募集人員は前年の3倍に急増…人材不足というけれど、余剰人員の肩叩きが始まっている

  2. 2

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 3

    大阪万博はやっぱり赤字?1日あたりの入場者は初日を超えられず…開幕1カ月のしょっぱすぎる収支報告

  4. 4

    庶民生活に忍び寄る“円安地獄”の足音…トランプ関税に翻弄され再び「1ドル=150円」も視野に

  5. 5

    急増する大手黒字企業リストラのシビアな背景…2024年「早期・希望退職」1万人超え、前年比3倍に

  1. 6

    迷走続く「マレリ・ホールディングス」再建…金融界の最大の懸念は日産との共倒れ

  2. 7

    値上げラッシュの時代になんと値下げ敢行! BYDの「コスパ逆張り戦略」がハンパない

  3. 8

    5月に入り葉物野菜が激安のワケ…1年前は1玉1000円だったキャベツが200円台前半で店頭に

  4. 9

    大阪万博GW集客伸びず…アテ外れた吉村府知事ゲッソリ?「素晴らしい」と自賛も表情に滲む疲れ

  5. 10

    終わらない「令和の米騒動」…JA全中会長どの口が?「決して価格高いとは思わない」発言大炎上の必然

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 2

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  3. 3

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  4. 4

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  5. 5

    オリオールズ菅野智之 トレードでドジャースorカブス入りに現実味…日本人投手欠く両球団が争奪戦へ

  1. 6

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  2. 7

    乃木坂46では癒やし系…五百城茉央の魅力は、切れ味と温かさ共存していること

  3. 8

    初日から無傷の6連勝!伯桜鵬の実力を底上げした「宮城野部屋閉鎖」の恩恵

  4. 9

    新潟県十日町市の“限界集落”に移住したドイツ人建築デザイナーが起こした奇跡

  5. 10

    トランプ大統領“暗殺”に動き出すのか…米FBI元長官「呼びかけ」の波紋