“為替介入”には限界がある…「超円安時代」の賢い資産防衛術

公開日: 更新日:

 円安はどうなる? 新NISA(少額投資非課税制度)を始めたばかりの投資初心者は気が気じゃない。はやりの投資信託「オルカン」(オールカントリー=世界の株式に投資)や米国株への投資をスタートさせたのはいいけど想定外の円安が直撃。この先、どんな資産運用をすればいいか不安はつきない。円安時の賢い資産防衛術とは──。

  ◇  ◇  ◇

 昨春に新社会人となった女性は入社とほぼ同時に、iDeCo(個人型確定拠出年金)を始めたという。

「毎月、米国株を中心とする積み立てタイプの投信をやっています。昨春は1ドル=130円台でしたが、いつの間にか150円を超えています。毎月、1万円程度の投資とはいえ、円安の影響で購入できる量(口数)が減っているようです。詳しいことは分かりませんが、このまま投資を続けていいのか不安になります」

 EV(電気自動車)業界の先頭を走る米テスラ。近頃、その勢いは衰え気味とはいえ、株価は180ドル程度だ。1ドル=130円だったら、「180ドル×130円」で2万3400円で株が買える(手数料などは考慮せず)。円安進行で1ドル=150円になると、「180ドル×150円」で2万7000円。130円時代に比べ、3600円を余分に支払わないと株は買えない。

 毎月1万円の積み立てで考えると、1ドル=130円だと「1万円÷130円」で約76.9ドル分、150円になると「1万円÷150円」で約66.7ドルと、随分と“目減り”してしまう。

■輸出企業の株を購入

 円安が不利なのは明らかだが、これはあくまで外貨(ドル)が絡む場合。為替の影響を受けにくい円資産への投資だったら話は変わってくる。

「円安メリットを忘れてはダメです。輸出企業を中心に業績は拡大します。円安局面は輸出企業の株式購入がオススメ。業績アップで株価上昇が期待できます」(IMSアセットマネジメント代表の清水秀和氏)

 株式市場はちょっと荒れ模様で、手を出しにくい状況だが、「輸出関連」に絞った投資なら痛い目に遭う確率は下がりそうだ。

 とはいえ、輸出企業はたくさんある。もう少し範囲を狭くできないものか。

「かつては自動車や電機が輸出企業の代表格でした。いまは半導体関連や機械なども期待大です。半導体関連には株価が低迷している企業が多く、これから再上昇の流れが起きる可能性は高いでしょう」(清水秀和氏)

 半導体検査装置で世界大手のアドバンテスト、半導体製造装置大手のSCREENホールディングス、半導体や電子部品の切断・研削・研磨装置で世界トップのディスコなど、半導体関連は円安時代にもってこいの銘柄だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    早期・希望退職の募集人員は前年の3倍に急増…人材不足というけれど、余剰人員の肩叩きが始まっている

  2. 2

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 3

    迷走続く「マレリ・ホールディングス」再建…金融界の最大の懸念は日産との共倒れ

  4. 4

    大阪万博はやっぱり赤字?1日あたりの入場者は初日を超えられず…開幕1カ月のしょっぱすぎる収支報告

  5. 5

    新浪剛史会長が同友会会見で“号砲”…フジテレビ「CM再開」に前のめり、サントリーにもお家事情

  1. 6

    庶民生活に忍び寄る“円安地獄”の足音…トランプ関税に翻弄され再び「1ドル=150円」も視野に

  2. 7

    急増する大手黒字企業リストラのシビアな背景…2024年「早期・希望退職」1万人超え、前年比3倍に

  3. 8

    「預金金利優遇プラン」のお得度を徹底検証 東京スター銀行は普通預金で最大年0.6%!

  4. 9

    大阪万博GW集客伸びず…アテ外れた吉村府知事ゲッソリ?「素晴らしい」と自賛も表情に滲む疲れ

  5. 10

    値上げラッシュの時代になんと値下げ敢行! BYDの「コスパ逆張り戦略」がハンパない

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    遠山景織子 元光GENJI山本淳一との入籍・出産騒動と破局

  2. 2

    巨人「松井秀喜の後継者+左キラー」↔ソフトB「二軍の帝王」…電撃トレードで得したのはどっち?

  3. 3

    反撃の中居正広氏に「まずやるべきこと」を指摘し共感呼ぶ…発信者の鈴木エイト氏に聞いた

  4. 4

    巨人のW懸案「ポスト岡本和真&坂本勇人」を一気に解決する2つの原石 ともにパワーは超メジャー級

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    松本潤、櫻井翔、相葉雅紀が7月期ドラマに揃って登場「嵐」解散ライブの勢い借りて視聴率上積みへ

  2. 7

    吉岡里帆&小芝風花の電撃移籍で様変わりした芸能プロ事情…若手女優を引きつける“お金”以外の魅力

  3. 8

    【今僕は倖せです】のジャケットに表れた沢田研二の「性格」と「気分」

  4. 9

    吉田拓郎の功績は「歌声」だけではない イノベーションの数々も別格なのだ

  5. 10

    裏金自民が「11議席増」の仰天予想!東京都議選告示まで1カ月、飛び交う“怪情報”の思惑