著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

ニトリが初の格付け「ダブルAマイナス」取得! 狙いは社債発行とM&Aか

公開日: 更新日:

円安の影響で約380億円の減益

 ニトリHDが5月14日に発表した24年3月期決算は、売上高が8957億9900万円、純利益が865億2300万円だった。前年から決算期を2月から3月に変更しているため、単純比較はできないが、22年2月から23年3月までの13カ月だった前年と比べると、売上高は5.5%減、純利益は9.0%減の減収減益となった。節約志向などでニトリ店舗の客数は前年に比べて1.3%減となったほか、「為替の見通しを誤ったことが主因」(大手証券幹部)とされる。

 ニトリHDは前期、想定為替レートを1ドル=130円に設定していたが、実際は、期中平均で1ドル=145円と円安に振れたことで、経常利益ベースで約380億円の減益要因となった。「ニトリは対ドルで1円円安になると、経常利益ベースで年間20億円の減益要因となる」(同)ためだ。

 一方、25年3月期は、国内店舗の売り上げ対策として家電を強化するほか、海外店舗の出店も強化し、売上高は前年比7.2%増の9600億円、純利益が同6.3%増の920億円を見込むが、再び増収増益路線を確実なものにするためには思い切った施策も想定される。「格付けの取得は、社債発行が視野に入っているもので、調達した資金を何に振り向けるのかが注目されます。ニトリは20年にTOB(株式公開買い付け)で島忠を買収しているが、同じようにM&Aに打って出る可能性もあるのでは」(市場関係者)との見方も浮上している。

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