著者のコラム一覧
中西文行「ロータス投資研究所」代表

法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。現在は「ロータス投資研究所」代表。

超円安がもたらす狂乱物価の悲劇…大企業の売り惜しみが始まる?

公開日: 更新日:

 資金循環統計(1~3月速報)によれば、個人金融資産が2199兆円(前年同期比7.1%増)と過去最高を記録した。伸び率は2~3%程度の賃金や物価の上昇率を大きく上回った。

 個人の金融資産は増加しても、富裕層の消費性向が上がり、消費支出が伸びるわけではない。逆に、多くの高齢者が足元の物価上昇や将来への健康不安(要介護)から消費支出を抑え、貯蓄性向が伸びた結果とも思える。

 為替相場は、1ドル=161円台と38年ぶりの円安を記録。外国証券を保有する富裕層は喜んでいようが、庶民には、今後の輸入物価の上昇により、タイムラグを伴い企業物価、そして消費者物価の上昇へと波及、消費支出に影響する。

 この先も、円安、物価上昇が見込めるなら、企業は売り惜しみ、在庫を積み上げる。そのため商品の需給バランスがタイトとなり、物価上昇に拍車がかかる公算がある。オイルショックの「狂乱物価」のとき、物価の先高観から庶民は買いだめに走り、総合商社など大手企業は売り惜しみし、利益を上げた。

 政府、日銀は、一段の円安を回避するため、日米金利差の縮小を意識した政策金利の引き上げを急ぐだろうか。中央銀行の重要な役割は「物価の安定」だからだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  5. 5

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 8

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    沢口靖子も菅田将暉も大コケ不可避?フジテレビ秋ドラマ総崩れで局内戦々恐々…シニア狙いが外れた根深い事情