著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

累積赤字は膨れ上がるばかり…官民ファンドは第三セクターの二の舞か

公開日: 更新日:

 なぜ、官民ファンドはこうもうまくいかないのか。「官民ファンドは政府の成長戦略を後押しする起爆剤として2013年以降、各省庁がこぞって設立した。形態は株式会社、一般社団法人、独立行政法人などさまざまで14ファンドが活動している」(中央官庁関係者)とされる。しかし、多くは当初の描かれた効果が得られていない。累積赤字が問題視されている株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)はその象徴だ。クールジャパン機構はクール(かっこいい)な日本を世界に発信するなど、訪日客を増やし日本の消費を盛り上げる事業に投資する官民ファンドで、2013年11月に発足したが、思うように投資ができず、累積赤字が積み上がっている。

 そもそも官民ファンドは、「民間が取りにくいリスクを官が取り、民業を補完する形で資金を投じる仕組み。これで儲けようというものではない」(中央官庁関係者)と擁護する意見もあるが、損失は国民負担に跳ね返ってくるわけで、看過できない。

「官民ファンドは、設立の趣旨は国益に沿う高遠なものなのだが、運用が正直下手だ。官民出資ということで、責任の所在が曖昧なことも、投資判断が甘くなる要因となっている。官僚も天下り先のひとつという意識もある」(メガバンク幹部)という。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」