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小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

農林中金の資本増強はJA、JA信農連との“三位一体”の証し…今期純損失は1.5兆円の見通し

公開日: 更新日:

 農林中央金庫が1日発表した2024年度第1四半期(4~6月期)の連結決算は4127億円の純損失となった。今年度中に、運用収益が悪化した外国債券など10兆円規模の債券を売却する方針で、今期の純損失は約1兆5000億円まで膨らむ見通しだ。

 同時に資本増強の詳細も発表した。中核資本に算入できる後配出資7360億円を9月末に受け入れるほか、6000億円の期限付き劣後ローンを24年度中に借り入れる。調達額は計1兆3360億円に及ぶ。当初、資本増強額は1兆2000億円規模を想定していたが、1000億円強上乗せされた理由について農林中金は、「出資者である農業協同組合(JA)などの会員から見込みより多くの応募があったためだ」と説明した。

■巨大損失の背景

 農林中金の利益は市場運用する、主に約56兆3000億円(24年3月末)の有価証券ポートフォリオに依存している。農協などJAから持ち上がる潤沢な円資金を国内外の有価証券などで運用する一種の巨大な投資ファンドのようなものだ。「国内の円で日本国債を買って、それを担保にドルを調達して、米国債などに投資する」(農林中金関係者)というのが基本投資フローだ。そこに米国の矢継ぎ早な利上げによる投資有価証券の価格急落とドル高による調達コスト増が襲い、巨額な損失につながった。「農林中金の運用失敗のツケをなぜJAが負担しなければならないのか」と批判する意見も聞かれる。

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