著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

“顔の可愛い化”だけじゃなかった! ワゴンR スマイルはマイチェンで走りも安全も絶妙進化

公開日: 更新日:

スズキ ワゴンR スマイル(車両価格:¥1,489,400/税込み~)

 ご存じだろうが、いま日本で一番売れているのは、ホンダN-BOXやスズキ スペーシアなどの軽スーパーハイトワゴン。全高1.7m超と背高で、スライドドア付きの超便利なファミリーカーだ。

 ではその次に何が売れてるかというと、トヨタ ヤリスやカローラなどのハイブリッドも選べるコンパクトカー系だが、実はそれらとほぼ同等に売れているもう1つの軽がある。

 それはダイハツ ムーヴキャンバスなどの“ちょい低”スライドドア付き軽ハイトワゴン。全高1.6m台とN-BOXより絶妙に背が低く、微妙にニッチな軽ファミリーカーだ。

 実は今年1月もキャンバスを含むダイハツ ムーブはスーパーハイト系の次に売れ、すっかり一昨年のダイハツ認証不正のネガを振り払っている。

 そしてこのムーブ キャンバスのライバルが2021年デビューのスズキ ワゴンR スマイルで、昨年末にマイナーチェンジが施されたので乗ってみた。

より可愛らしい顔つきに

 具体的にはフェイスリフトがメインで、簡単に言うとライバル、ムーヴ キャンバスに寄せた顔つきになっている。

 キャンバスはこの手のスライドドア付き軽ワゴンの中でも特に可愛さが売りで、ぶっちゃけ60年代のワーゲンバスっぽい。ホワイトを効果的に使った2トーンボディとモノトーンボディがあり、人気の前者はいわゆるクルマっぽいフロントグリルがなく、まさに漫画から飛び出してきたキャラクターのような顔つき。丸目LEDヘッドライトと相まって、いかにも女性や子供にウケそうなデザインだ。

 かたや今回乗ったワゴンR スマイルも、ちょっと背が低めなところはキャンバスと似ているが、元々はメッキグリルを装備し、ヘッドライトも真円ではなく楕円の厚切りレンズを使ったりして、クルマっぽいリッチ感で勝負していた。

 しかし今回のマイチェンで、微妙にムーヴキャンバスっぽい漫画チックな顔に寄せてきているのだ。

 今まではメッキのドット模様を使ってたグリルだが、マイチェンで上半分を樹脂化し、より可愛らしい顔つきに変更。

 フロントバンパーの開口部も以前より“おクチ”っぽい切り方になり、真ん中のルーバーもはみ出さないようになった。

 細かいところでは、メッキリングが付いてたフロントのフォグランプもバンパーカラー同一に変更。

 ボディカラーも新色のトープグレージュメタリックを始め、グレーやグレージュ系が増え、明らかに暖色中心に変化。ついでに言うと、インテリアのカラーパネルも新たに「リフレクショングレー」や「モスブルー」を採用。こちらもファッショナブルなグレー系で、ワゴンR スマイルの特長的な顔はそのままに、絶妙にキャラクター化してきている。

デジタル性能でも仁義なきガチバトルが

 さらに侮れないのが先進安全の進化で、今回のマイチェンで電動パーキングブレーキ付きの「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」を上級グレードで標準装備。追従オートクルーズがより正確になり、高速道路で完全停止保持もできて、レーンキープまで可能になった。同時にナビも新世代のスズキコネクト対応タイプが付けられるように。

 デジタル性能も含め、まさしく軽自動車らしい、仁義なきガチバトルが繰り広げられているのだ。

 一方、今回のマイチェンスマイルのパワートレインに変更はなく、相変わらず660ccのマイルドハイブリッド付きノンターボユニット1本で、エンジンパワー&トルクは49ps&58Nm、最良WLTCモード燃費は25.1km/ℓとライバルより良好。

 ただ面白いのは、「足周りは変更ナシ」と聞いてたのだが、実は微妙に進化していたこと。フロアに減衰接着剤を塗布して振動を減らし、14インチのタイヤサイズは変えないまでも、タイヤを乗り心地のいい銘柄に変え、最後にダンパー減衰力を最適化。多少荒さがあった乗り心地が確実に滑らかになっているのだ。

 心なしかステアリングの切れも増しており、顔のキュート化と同時に走りの上質感も絶妙にアップした。

 結局のところ、買う人は新しい顔が「気に入るか?」「気に入らないか?」だと思うが、改良度は想像以上。気になる人はぜひディーラーに行って乗り比べてくださいませ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景