官製ファンド「INCJ」が15年の歴史に幕…志賀俊之会長が会見で語った悔しさ
しかし、実態は、「投資先は死屍累々で、勝又幹英社長が“ホームラン案件”と呼んだルネサスエレクトロニクスの株式売却益でどうにか黒字を確保したようなもの」(大手証券幹部)だった。半導体大手ジャパンディスプレイ(JDI)支援に4620億円を投融資したが、回収額は3073億円にとどまった。1390億円を支援した有機ELディスプレー製造のJOLEDは経営破綻した。「民間なら追加投資をしない案件でも、官民ファンドは社会的影響を考え途中で手を引くのは難しかった。JOLEDは私にとって一番重かった案件だった」(志賀氏)と吐露した。
■「カルロス・ゴーン氏から詰め腹を切らされた男」
志賀さんの人柄にほれ込む財界関係者は多い。志賀氏は和歌山県出身。和歌山県立那賀高校を経て、1976年大阪府立大学経済学部卒業。1976年に日産自動車に入社。最初の配属先は自動車関連ではなく、マリーン事業部だった。その後、アジア大洋州営業部ジャカルタ事務所長・企画室長を歴任。1999年に日産がルノーと提携しCOOとなったカルロス・ゴーンの下、アライアンス推進室長を兼任。現場とのパイプ役として、日産リバイバルプランの立案・実行に力を振るった。