官製ファンド「INCJ」が15年の歴史に幕…志賀俊之会長が会見で語った悔しさ
「志賀さんが辞めた」
3月末で投資活動を終えた官製ファンドINCJ(旧産業革新機構)は6月30日、15年間の活動を振り返る記者会見を開いた。
会見に臨んだ志賀俊之会長は「業界再編をもっとやりたかった」と振り返り、「日本の産業競争力が弱くなってきている」と指摘した。
リチウムイオン電池や半導体業界などを例に、再編が進まず国内での過当競争で疲弊し、中国・韓国企業に勝てない状況が続いている一方、業績が悪化してから再編に動き出す企業が多く、「どうしても官民ファンドとしては手を出しにくかった」(志賀氏)と悔しさをにじませた。
INCJはリーマン・ショック後の2009年、次世代の国富を担う産業の育成・創設を目的に経済産業省が主導して設立された。国が約96%を出資し、残る一部を民間が出した。民間だけではリスクが高く投資が難しい分野を支援することが目的だった。
法律で定められた活動期間の15年で計144件の投資を手がけた。3月末時点で投資見合い元本1兆2823億円に対し、2兆3260億円を回収しており、累計1兆円超の利益を確保した。