パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由
新規事業が開拓できなければ…
11年には傘下の三洋電機が手がける白物家電事業を中国のハイアールに売却。13年には個人向けスマホ事業から撤退した。20年には半導体事業を台湾企業に売却し、その後も太陽電池や鉛蓄電池、液晶ディスプレーの生産から撤退した。直近では車載機器を生産する傘下企業を米ファンドに売却している。一時、30万人超いた従業員は、24年度末時点で20.8万人となった。
24年度売上高のうち、家電や電材などを手がける「くらし事業」の売上高は3.5兆円超。その他事業もパソコンや工場用の制御機器、リチウムイオン電池など、いずれも製造業が主体である。21年に物流システムの米ブルーヨンダーを8600億円で買収したが、日立のLumadaのように収入源として確立していない。非製造分野を開拓できず、単に企業規模を縮小しただけといえる。
前出の関係者は「車載用リチウムイオン電池に注力しているが、中国・韓国勢が台頭し、パナソニックのシェアは10%に満たない」という。液晶に注力したものの、安い中韓勢を前に業績が悪化したシャープのシナリオが見えてくる。新規事業を開拓できなければ、追加の人員削減も相次ぎそうだ。
(ライター・山口伸)