男性の育児休暇取得「過去最高40.5%」達成の背景…東証プライム企業ではさまざまな優遇措置
そのうえでこう語る。
「共働きの夫婦が増え、育児と家事の負担を夫婦で分かち合うことで男女とも仕事と育児の両立が欠かせなくなっています。また、産後の1カ月にさまざまなストレスに直面し、育児ノイローゼから産後うつを発症する女性が10%の確率であるといわれています。母体が回復するまでの産後1カ月間は、女性を支える男性のサポートが不可欠です」
育児休業を開始した男女のうち「産後パパ育休」を取得した人は60.6%。男性の育児・家事への参画は確実に増えてきているのだ。
東証プライムの企業は男性社員の育児休業取得に前向きな企業が多く、育休を取得した男性社員への優遇措置も多く見られる。
三井住友海上火災保険は、社員が育児休業を取得する際に、職場の人数規模に応じて本人を除き職場全員に最大10万円の一時金「育休職場応援手当」を給付している。沖電気(OKI)では、育休取得社員の業務を円滑に行えるよう支援した社員に10万円を支給する「育休サポート報奨金」を導入。野村証券は1カ月以上の育休を取得した社員に「育休取得奨励金」として年間基本給の1割を支給している。サッポロビールは育休取得社員の業務を引き継ぐ社員に、業務量に応じポイントを付与し、ボーナスに加算している。
育休取得は取得した社員の業務の補充が課題だったが、育休を取得しやすい企業環境は休む社員の気持ちを楽にさせ、企業の生産性を高めることにつながる。
(ジャーナリスト・木野活明)