2026年は造船業界再編の年に オールジャパン体制で復活なるか?

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海運も一体の7社連合で次世代船の設計も

 造船業復活に向け、企業同士の統合も活発化しそうだ。経済ジャーナリストの森岡英樹氏は「26年は造船業界再編の年になる」としてこう言う。

「昨年6月、日本造船工業会のトップに就任したのは、国内造船最大手・今治造船の檜垣幸人社長です。専業の造船会社のトップが会長になるのは初めてで、檜垣氏が中心となる『造船オールジャパン構想』に注目しています」

 檜垣氏は会長就任会見で「日本の造船メーカーで2030年以降に次世代燃料船では世界トップシェア、全体では2割のシェア獲得に向けて業界で協力体制を進める」と宣言。AI(人工知能)やロボットの導入なども積極的な考えで、造船業の日米連携については「日本の造船業のプレゼンスを上げていくチャンスが訪れたと思って前向きに進めたい」と語っていた。

 森岡氏が注目する「造船オールジャパン構想」は、決して非現実的な話ではない。

 今治造船とジャパンマリンユナイテッド(JMU)が21年に設立した「日本シップヤード」は商船の設計のほか、次世代船の設計の共通化も担当。三菱重工と今治造船が共同出資する次世代船設計会社・MILES(マイルズ)には日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社も資本参加し、JMUや日本シップヤードも加わるため、国内7社が連合して効率的に船舶の設計や開発を進める方針だ。アンモニアを燃料とする次世代環境船の開発でもタッグを組む。造船と海運が一体で造船復活を目指すという。

 次世代燃料船をめぐっては、JMUもアンモニア運搬船やメタノール燃料船などの建造拠点を持ち、川崎重工は今月6日、世界最大の液化水素運搬船の造船契約を締結し、海外から国内に水素を輸入する供給網の構築を目指すという。製造側の知見を設計に生かし、設計から建造まで7社の連携を強化することで、日本の造船業の復活を狙うという。

 さらに27年度までに防衛費をGDP比2%まで増額する方針も追い風だ。三菱重工や川崎重工など、防衛省向けの艦艇建造を手がける企業は長期の大型受注が見込める。一方、「防衛装備移転三原則」の運用指針改定により、三菱重工は昨年8月、豪州の次期フリゲート艦11隻の調達先に選定された。

■過酷な作業現場は今も死者が絶えない

 だが、官民挙げた造船フィーバーの裏で、現場のムードは冷ややかだ。大手重工業の元社員はこう言う。

「世界最大の海運企業デンマークのマースクは次世代燃料にメタノールを選んでいますが、今後、どの燃料が主流になるかは不明で、その選定はギャンブルに近い。造船は、注文を受けて2年から3年かけて造るもので、造船が先にあるわけではありません。港も船会社に応じて燃料を用意しますから。造船会社がアンモニア船を造りたいからといって、造れるものではないのです。そもそも日本の造船は中韓から周回遅れ状態で、オールジャパン体制で本腰を入れないと勝機は薄い」

 港で働く人間からは悲鳴が上がる。

「期待しているのはフィジカルAI(物理的な実体を制御する人工知能)による自動化です。高さ10メートル以上のコンテナ上では、20キロのスチールバーで結束作業をしています。気象も過酷で真夏には、目玉焼きが焼けるほど甲板が熱くなる。船上作業はきつくて危険、死亡者は今も絶えません」(神奈川県の港湾関係者)

 政府は、35年の生産倍増に向けてネジを巻いているが、そのためには造船現場の働き方改革が欠かせない。分かりやすいのは、韓国や欧州などで導入が進む屋根付き造船所や溶接ロボットなどの導入だろう。

 3K職場の環境を改善しない限り、造船業の株価はともかく、業界全体のV字回復は難しいかもしれない。

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