中古市場を整備すれば空き家は減るのか
「読売、日経、産経」と「朝日、毎日、東京」――安倍政権に対する賛否で在京6紙を分類すると、こんな姿になるようだ。前者は「イエス」で後者は「ノー」。当然、情報は前者の方が得やすいのだろう。実際、政権の次の一手を先んじて報じたりしている。
そこで気になったのが、〈空き家の抑制へ中古住宅の市場整備を〉との見出しが付けられた20日付日経朝刊の社説である。
先日、総務省の調査で、全国の空き家の割合が過去最高に膨らんだことが明らかになった。その数、820万戸。5年前に比べて63万戸も増えたそうだ。理由はハッキリしている。人口が減っているのに住宅の新設は続いているからだ。
そこで日経は、既存住宅の活用を提案した。空き家になってしまう中古住宅の物件情報を充実させ、消費者が買いやすい環境を整えるべきとの訴えである。新しい家を建てるのではなく、古い家をリフォームして住むようにすれば、空き家が増えることもない。そのために政府は、中古住宅の市場整備を進めよ。そんな主張だ。
安倍政権と日経の関係を考えれば、中古重視の方針は既定路線なのかもしれない。実際、政策に反映される可能性も高そうだが、それで本当に空き家が減るだろうか。やはり消費者のニーズは中古よりも新築にある。なにしろ装備が全然違うのだ。