「戦争法案反対」12万人の凄まじい熱気と安倍官邸の異常対応
国会前を埋め尽くした人、人、人。地鳴りのように響き渡る「戦争法案絶対反対」コール。その中を静かに風船が上がり、「安倍やめろ!」の垂れ幕が曇天の空に広がった。
弁護士の太田啓子さんは「これぞ、市民革命」とSNSに書き込んでいたが、大げさではない。
とにかく、想像を超えるド迫力だったのが、30日の安保法制反対大集会だ。
「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」が呼びかけた一斉反対行動は主催者発表で12万人が集まり、「身動きが取れないほど」(取材したジャーナリスト・横田一氏)の人で埋め尽くされた。
国会前の広い道路は映画のワンシーンのように人があふれ、そこから流れる人々の列が国会を取り囲んだ。それでも地下鉄の入り口からは次から次へと人があふれ出てくる。シールズのツイッターによると、最終的には延べ人数で35万人が集まったという。
スピーチをした法大教授の山口二郎氏はこう言った。
「これまでのデモとは全く違う熱気でした。特に国会正面前の車道をも埋め尽くした人々の光景は感動的でした。
この大衆を前に野党4党首(民主、共産、社民、生活の党)が次々に壇上に立って挨拶した。おそらく、これだけの反対運動を見せつけられても安倍政権は安保法案を強行するのでしょう。安倍首相の頭は普通じゃないから。しかし、それで国民の怒りが収まると思ったら大間違いです。この闘争は長く続く。野党が一致団結し、国民の怒りを受け止める受け皿をつくれば、間違いなく、安倍政権は倒れると思いましたね」
国会前を埋めた群衆は当初、歩道に押し込められていた。しかし、あまりの人数に警察が固めていた鉄柵が決壊、車道は瞬く間に大群衆で埋め尽くされた。同じくマイクを握った佐高信氏はこう言った。
「雨が降っている日曜日なのに、お年寄りが集まった。子供連れの女性もたくさん来ていました。これはこれまでの運動と全く違うところです。安倍自民党がいくら、その場しのぎの狡猾な政権運営をしても、国民は冷静に見据えて、それを凌駕する行動に出ている。自民党ならぬ非自由非民主党、公明党ならぬ蝙蝠政党の正体は見透かされていて、最終的にはひっくり返る。そんな予感がしました」
ミュージシャンの坂本龍一氏は「現状に絶望していたが、希望があるなと思った。日本人の中に9条の精神が根付いていることに勇気づけられた。憲法を血肉化することが大事だと思う」と訴えた。作家の森村誠一氏、ルポライターの鎌田慧氏も次々にマイクを握り、そのたびに、「安倍辞めろ」コールが盛り上がった。
驚くべきは、こうした反対運動が全国350カ所で、沸き起こったことだ。大阪の扇町公園も反対運動の2万5000人で埋め尽くされたし、広島は500人、名古屋は200人、新潟は2000人、秋田は800人、山形も800人(いずれも主催者発表)が一斉に反対運動に参加した。秋田では小林節慶大名誉教授が「安倍首相のやり方は裏口入学。民主主義に対する重大な挑戦」と切り捨てた。
安倍政権が強行突破しようとしている安保法案に対する国民の答えは、これ以上ないくらいに明確に示されたのである。