安田さん救出9カ月成果なし 不安が残る外務省の“交渉力”
昨年6月から行方不明のフリージャーナリストの安田純平氏(42)とみられる映像がネット上で公開され、混乱が広がっている。安田氏はシリアのアルカイダ系過激派組織「ヌスラ戦線」に拘束されたとみられ、かなりやつれた様子だったから心配だ。
動画では「私の国に言わなければならない」「痛みに苦しみながら暗い部屋に座っていても、誰も反応しない。誰も気にとめない」などと暗に日本政府の対応を批判する発言もあった。
「映像公開は『身代金を早く出せ』というヌスラ戦線のメッセージでしょう」と、中東情勢に詳しいジャーナリストの村上和巳氏はこう続ける。
「ヌスラ戦線はIS(イスラム国)と違い、油田など、お金を得られる支配地域を持っていないため、資金不足に陥っています。監視や食事などにお金がかかる安田さんを早く引き取ってもらいたいというのが本音で、以前から日本政府とも接触していたと思われます。ヌスラ戦線が公に身代金を要求しないのは、妥協できる額で水面下で交渉しようということの表れ。日本政府としては交渉しやすい状況だと思います」