ベルギーテロが物語る 警戒レベル最高でも脅威は防げない
現地時間の22日午前、ベルギー・ブリュッセルの空港と地下鉄駅で起きた連続テロ。ベルギー公共放送によると、空港で14人、地下鉄で20人の計34人が死亡した。重傷者を含め230人以上が負傷している。
ベルギー検察は、空港での爆発について「自爆テロ」との見方を示し、出発ロビーの監視カメラで撮影された映像に男の容疑者3人が写っており、2人が自爆したとみられるとしている。警察はもう1人の行方を追い、写真を公開して情報提供を求めている。
この連続テロについて、イスラム国(IS)を名乗る組織がインターネット上に犯行を認める声明を出した。
テロ発生を受け、ベルギー政府は、すぐに警戒レベルを最高の4に引き上げた。昨年11月13日にフランス・パリでテロが起きた後、ブリュッセルのテロ警戒レベルは直近まで3に引き下げられてはいたが、警戒態勢は解いていなかった。それでもテロを防ぐことはできなかった。軍事ジャーナリストの神浦元彰氏はこう言う。
「パリのテロでターゲットになったのは、スタジアムやコンサート会場など比較的警備が手薄な場所でした。今回のテロも、空港出発ロビーのカウンターと地下鉄駅。空港は搭乗者以外には警備が手薄です。こういった『ソフトターゲット』に的を絞られると、警戒レベルを引き上げてもテロを防ぐのは困難。各所に大量の警備員を配置するのは現実的ではないし、観客や乗客の荷物チェックを完璧にこなすのは、まず無理でしょう」