マイナス金利が招く銀行連鎖破綻の再来
先週末、米ワイオミング州の保養地ジャクソンホールに各国の中央銀行トップや名だたる経済学者が集結していた。米カンザスシティー連銀が開いた経済シンポジウムへの出席が目的だ。世界の金融関係者が注目した討論会で、日銀の黒田総裁は自身の政策を自画自賛。29日付の日経新聞には〈マイナス金利政策によって「(企業や家計の)資金需要が刺激された」と語った〉と書かれていた。
ところが、その記事が掲載されたページをめくると、すぐ裏面には〈低金利、政策手詰まり感〉との見出しが立っていた。同じ討論会で、米FRBのイエレン議長が利下げの限界論に言及し、「財政や規制緩和が重要」と中銀頼みの限界を吐露したようだ。
低金利政策について、同じ場所に居合わせた日米両国の中銀総裁の意見が、くしくも真っ二つに割れたわけである。
黒田総裁はマイナス金利で「需要が刺激された」と胸を張ったが、どこをどう探しても、そんな効果は見つからない。今年1月末のマイナス金利政策の導入決定以来、消費の低迷は続き、GDPはゼロ成長、昨年末に1ドル=120円台を付けた為替も、いまや1ドル=100円前後の円高水準にへばり付いている。