未浄化下水広がる“肥溜めトライアスロン”に選手は戦々恐々
自身のホームページでも〈山手線エリアの内側のほぼ全域から(トイレや台所などの)汚水が、私たちの街に集められ、雨が降るたび茶色の「簡易処理水」として運河に放水されているのです〉と、写真付きで警鐘を鳴らしていた榎本議員。塩素を混ぜただけの「簡易処理水」が毎月、大量に放水されていたなんて衝撃の事実だ。あらためて榎本議員に話を聞くため、事務所に電話をかけ続けたものの、夏休み中なのか、話し中コールのまま、つながらず。
プロフィルを確認すると、〈国土交通省「水辺空間の有効利用によるみなとの魅力向上促進に関する研究会」委員〉などを務めたほか、〈港区の海が汚れるメカニズムを国の研究機関と共同で解明〉とある。単なる杞憂ではなく、きちんとした科学的データに基づいて問題点を指摘しているようだ。
この通りであれば、お台場の海は「トイレみたい」ではなく、「トイレの汚染水そのもの」。テスト大会に参加した選手は「肥溜め」の中を泳がされているような気分だったに違いない。
とてもじゃないが、競技に集中できるような環境にはなかっただろう。
水質汚濁や富栄養化などを防ぐための浄化対策としても使われるカキが、1年も持たずに死滅し、雨が降った後は大量の黄土色の汚水が広がる海でなぜ、トライアスロン競技を強行する必要があるのか。一体誰のため、何のための五輪なのか、あらためて考えるべきだ。