岸田首相はドヤ顔! 永田町に吹き荒れた「3.31解散説」の出どころと方々の思惑
早期解散説が突風のように吹き荒れ、永田町が浮足立っている。早ければ「3.31解散」で衆参補欠選挙が予定されている4.23投開票との観測まで浮上。5月の広島サミット前というのは、常識で考えればあり得ない日程なのだが、与野党が右往左往するのを岸田首相は“ドヤ顔”で高みの見物らしい。
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このタイミングで早期解散説が出てきた直接のきっかけは、メディア各社の世論調査で岸田内閣の支持率が軒並み上昇していることだ。
これに自民党幹部が「衆院は常在戦場」と発言し、<首相は予算関連法案が仕上がる31日に衆議院を解散して大勝し……>などと書かれた怪文書まで出回り、「まさかの4月選挙か!」と大騒ぎになったのだ。
もっとも永田町を取材すると、「(解散を)『やるゾ』というムードにして、統一地方選向けに自民党内を引き締めようということだろう」「準備が整っていない野党に対する揺さぶり」「怪文書を書いたのは官邸に近い記者じゃないか」など、ブラフとの見方が大勢ではある。しかし、前回2021年の総選挙で岸田首相が当初の予想を大幅に前倒しして解散に踏み切ったことから「首相はサプライズ好き」(自民党中堅議員)と疑心暗鬼が広がった。
28日には「受けて立つ」と言っていた立憲民主党の安住国対委員長が、29日は「(前回の衆院選から)1年5カ月の任期で解散は党利党略」と政権を牽制。それだけビビり出したということでもある。
統一選に全力を注いでいるため早期解散を避けたい公明党の動揺はもっと激しい。山口代表が28日の23年度予算成立後、岸田首相に直接「解散じゃありませんね?」と確認しただけでなく、29日は首相官邸で一緒に昼食。「少なくとも4月総選挙という直近の解散はない」(公明党幹部)との感触を得て、胸をなで下ろしたという。
「元々、3月解散・4月総選挙の情報を流していたのは、岸田政権と距離のある菅前首相系や安倍派系だったが、岸田首相はこれを逆手に取った。支持率上昇で自信をつけた首相は、解散風をあおることで政局の主導権を握ったと、面白がっている。28日夕のぶら下がり取材では『統一選と補選と先送りできない課題に取り組む。今はそれしか考えていない』とコメント。解散の否定が弱かったのに、29日は『(解散は)今、考えていない』と否定を強くしたのもその一環です。微妙な違いを計算して発言している」(岸田周辺)