「備蓄米販売」では購入格差は埋まらない…手に入るのは都市部ばかり、地方は置き去り

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 いつになれば並ばずに全国どこでも買える日が来るのか。随意契約による備蓄米を販売する大型スーパーはどこも開店前から大行列。安いコメを求めて常に1000人近くが押し寄せ、開店と同時に瞬く間に売り切れ。その様子を連日、TVニュースは伝えている。

 すでに2022年産の「古古米」20万トンは随時、申し込んだ大手小売店に引き渡されている。今年度(25年7月~26年6月)のコメの年間需要見通しは663.4万トン。1カ月あたり約55万トンで放出量はその3割を補える計算だ。決して「足りない」わけではない。

 最大のネックは精米作業だ。備蓄米は玄米の状態で引き渡し、精米は購入した業者任せ。大手とはいえ自前の設備を持つ小売店は少なく、コメ卸の精米工場に頼らざるを得ない。備蓄米優先でフル稼働させ、急ピッチで精米しても納入できる量には限界がある。

 精米・袋詰めが済んだ分から店頭に並ぶが、大手は需要が見込める都市部の店舗を優先しがちだ。古古米2万トンを調達したイオングループは全国約2200店舗のスーパーを擁するが、先行販売中は東京・千葉・大阪・愛知の計4店舗のみ。まだ販売体制が整っておらず、全国販売には至らない。

 同じく2万トンを調達したドラッグストアのコスモス薬品(本社・福岡市)も4日、備蓄米の販売を始めたが、購入できるのは九州全域に展開する651店舗のうち福岡県内の202店舗が中心。すでに販売に踏み切った地方の大手スーパーでも、店頭に備蓄米が並ぶのは現状1~2店舗だけである。

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