平和記念式典での石破首相スピーチの評判がすこぶるいいが…原稿を下書きしたのはAIだった?
■またも核廃絶への具体的前進はナシ
歴代首相のスピーチ原稿と言えば、最近では安倍首相の外交、歴史認識に関する重要演説を手掛けた谷口智彦・内閣官房参与(元日経BP)や、菅首相の総裁選や所信表明や寄稿文を下書きした柿崎明二・首相補佐官(元共同通信)などスピーチライターの存在が注目されたが、はからずも今回の石破スピーチが歴代首相のスピーチライターよりAIの方が優れていることを証明したわけだ。
もっとも、世論ウケした石破首相のスピーチも、情緒的表現をそぎ落とせば、政治的意味においては、歴代コピペ首相と何ら代わり映えはしない。
周知のとおり、日本は唯一の被爆国として原子力の平和利用と核兵器の不拡散・廃絶に向けた国際社会への働きかけが使命だが、石破首相は歴代首相同様、核兵器禁止条約の締結を拒否する姿勢を崩していない。
昨年、核兵器廃絶を国際社会に訴え、日本政府に対して条約締結を求めてきた日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞した。
核廃絶を願う国民世論は、今回の石破スピーチにせめて締結国会議へのオブザーバーとしての参加表明を期待したが、それもかなわずだ。「仏作って魂入れず」ではないが、首相スピーチが国民の心にズバッと刺さらない理由はまさにそこにある。 (特命記者X)