高山正之コラム打ち切り…その前に週刊新潮がやるべきだったこと
1997年、共産党のトップだった宮本顕治批判を袴田里見党副委員長に書かせた。“鶴タブー”といわれた創価学会問題を一番熱心に追いかけてきたのも新潮だった。
2009年、新潮が「朝日新聞阪神支局を襲撃した赤報隊の実名告白」という大誤報をして、週刊誌批判が巻き起こった時、私は上智大学の大教室を借りて「週刊誌がこのままなくなってしまっていいのか」というシンポを開いた。聴衆の多くが中に入れず、新聞、テレビがこの模様を報じた。
今同じことをしても20人も集まらないだろう。しかし、新聞、テレビ、週刊誌、将来的にはネットメディアが互いに切磋琢磨しながら共存していくのが健全な言論界の姿だと、私は考えている。
新潮の保守的な論調は私とは相いれないが、新潮が意見をいう権利は守りたい。今回、高山のコラム打ち切りに批判的な声が編集部にあると聞く。ならば、高山と親しいといわれる現編集長は、謝罪文が出る前に深沢と対面して、件のコラムが差別的でも人権侵害にも当たらないと「説諭」すべきであった。
筆者を切って事足れりとするのでは、新潮の名がますます廃れる。(文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)