本田圭佑「虚像と実像」(6)中1の少年を襲ったクラムジー

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 本田の心身の変化に気付いていた田中章博(元摂津二中サッカー部顧問)がこう話す。

あの頃の圭佑は、それこそ“寝て起きるたびに身長が伸びる”感じでした。太ももなんて入学して2年間で8センチは大きくなったはず。背が高くなると足元と目の距離が長くなる。それが数センチ単位だとしても、目の位置が変わるとボールを扱う感覚が微妙にずれる。キックするにしても、パスを出すにしてもバランスが崩れてバラバラになってしまう。それが毎日続くわけだから、圭佑も大変やったと思います。可哀想なくらいでした」

 田中はその頃、関西トレセンU―15代表の指導者だった。そこでもクラムジーに悩む選手と何人も接してきた。

「圭佑は周囲に不安を口にすることもなく、ひとりでじっと耐えていたからね。『クラムジーは(成長期が過ぎると)治まる。我慢しろよ』と励ました。本人はウンともスンとも言わんかったけどね(苦笑い)。すごく苦しかったと思う。動きたくても動けないわけやから。ガンバで試合に出られなかったのは、クラムジーの影響も大きかったと思います」

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