元横浜打撃コーチ・高木由一氏が語る 長嶋監督を奈落の底に突き落とした「マシンガン打線」の秘密

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 横浜ファンに語り継がれる試合がある。98年7月15日、横浜スタジアムでの巨人戦。三回までに7点を奪われた横浜は、「マシンガン打線」が猛打を振るい、13対12でサヨナラ勝ち。両軍40安打の大乱戦を制した。巨人はこの年、ドラフト1位で目玉の慶大・高橋由伸を獲得。この試合で初めて松井秀喜清原和博との「MKT砲」が揃って本塁打を放つ活躍を見せるも、横浜に連夜のサヨナラ負け。長嶋茂雄監督は茫然自失の体で報道陣の取材を拒否した。以降、巨人は38年ぶりのリーグ優勝、日本一まで駆け抜けた横浜の背中を一度もとらえることなく、4位Bクラスに沈んだ前年に続き、3位で2年連続のV逸。長嶋解任騒動が勃発した。巨人を奈落の底に突き落とした横浜の当時の打撃コーチ、超強力打線を育てた高木由一氏(66)があの激闘の裏側を明かす。

「あの試合、三回までに先発の斎藤隆が7点を取られた。普通なら完全な負け試合。さすがにきょうはダメかと思う一方、いやひょっとしたらと期待させる力と勢いが当時の打線にはありました。この2試合前の中日戦は九回に6点差を追いついて引き分け、前夜の巨人戦もサヨナラ勝ち。神がかり的な試合が多かったからね。そうしたら、案の定ですよ。四回に7連打で5点取って1点差になったけど、八回に高橋由に3ランを打たれ、再び3点差。万事休すと思ったその裏、まさかが起きた。巨人は守護神の槙原寛己を投入。6番の佐伯貴弘が右飛に打ち取られた2球目が、槙原がきちんと静止せずに投げたとボークをとられた。打ち直しとなって、右翼席に同点2ランを打ったんだ。この本塁打が一番印象に残っている。そして九回に波留がサヨナラ打。八回の高橋由の3ランで清原がウチの選手に『もうこれで決まったろう』と言ってたそうだけど、『これでも勝てねえのか』と唖然としてたって。そりゃそうだよね」

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