J1最多得点に王手 広島FW佐藤寿人が語る「ゴールの極意」

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 Jリーグを代表する実力派ストライカーが、前人未到の快挙に王手をかけている。01年(ジェフ千葉所属=現J2)にJ1初ゴールを決め、積み上げてきたJ1通算ゴール数は「156」。歴代1位の元日本代表FW中山雅史氏の157ゴールに並び、そして超えようとしているのだ。04年からの「連続2ケタ得点」も、今季11ゴールを決めて「12年連続」に伸ばした。もちろんJリーグ最長記録。しかし、日本代表としては、06年から12年までの間に31試合4得点。不遇をかこっている。ゴールを決める極意は? 決定力不足の日本代表に足りないものは? どうして代表レギュラーに定着できなかったのか? 今年6月にJリーグ史上初となるJ1・J2通算200得点を達成した。「最もJリーグでゴールを決めている男」の胸の内に迫った。

――いろいろなタイプのFWがいますが、ストライカーには何が求められると思いますか?

「ボクたちは、何によって評価されるのか? ただひとつ、《点を取り続けること》です。FWである以上、ゴールという明確な数字を残さないとポジションを奪われてしまう。その恐怖に怯えながら打ち勝つための努力を常に続け、どうやったらゴールを決められるのか? サッカーを始めた頃からFWをやっていますが、ずっと考えながらプレーしています」

――子どもたちは、司令塔などチームの中心選手が付けることの多い「背番号10」に憧れる傾向がありますが、その背番号10がイヤでしょうがなかったと聞きました。

「ストライカーの背番号は9番か11番というイメージを持っています。たとえ10番でも不満という感覚は、子どもの頃から変わっていません。ジェフ(千葉)のジュニアユース時代に10番を付けたこともありますが、心の中では『嫌だ!』と思ってプレーしていました」

――フォワード、点取り屋、ストライカー、フィニッシャー。どの呼び名がしっくりしますか?

「もちろんフィニッシャーです。チャンスを演出したり、アシストをしたり、味方選手を上手に使ったり、そういった仕事ではなく、あくまで最後の仕上げとしてゴールを決める選手=フィニッシャーが、ボクに課せられた役割だと思っています」

――ゴールを決めるための極意は何でしょうか?

「ボクは身長も高くないし、フィジカルも強くない。自分自身の武器は何か? それは《ゴールへの欲》を持ち続け、そして《常に頭を働かせる》ことです。ゴールを決める! という意識を高く保ち、そのためのアイデアを増やしていく。練習では、いろいろなバリエーションのシュートにトライし、その中から実戦で使えるもの、使えないものを整理していく。たとえ試合でミスしてしまっても、次のチャンスまでに《何がダメだったのか?》と考えて修正できれば、ゴールという形につなげることができます」

――相手選手との駆け引きも必要となります。

「ゴールを奪うためには当然、駆け引きも必要です。たとえば目線や顔の向き、上半身の動きなどで相手と駆け引きをします。右サイドからのクロスをファーサイドで受けようとした場面がありました。マーク役のDFを幻惑しようとして《わざと手を動かしてDFの視野に入れ、ニアサイドに入り込むような動きに見せかけた》ところ、思った通りにDFは前方に動き出していった。手の動きひとつでボクは、そのままファーサイドでフリーになれたのです」

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