著者のコラム一覧
松崎菊也戯作者

53年3月9日、大分県別府市生まれ。日大芸術学部放送学科卒業後は宇野重吉らが率いる「劇団民藝」に所属。その後はコントグループ「キモサベ社中」「キャラバン」を経て、88年にコントグループ「ニュースペーパー」を結成。リーダー兼脚本家として活躍した。98、99年にはTBSラジオ「松崎菊也のいかがなものか!」でパーソナリティーを務めた。現在も風刺エッセイや一人芝居を中心に活躍中。

なぜ男は「絶対王者」羽生結弦が嫌いなのか

公開日: 更新日:

 ありったけの言葉を継いで、懸命に笑顔を作る飾り屋(昔ゃナルシシストとか横文字を使ったもんだが、今じゃこっ恥ずかしくてまともに使えねえほど無縁になったさ)。

 極めつきは夜のスポーツ番組だ。先輩の織田信成に「敵は自分です」と言った後に、「敵は本能寺じゃありませんよ」と付け足し、一重の目を細くして口を曲げてニタッと笑った時。

 織田は屈託なく大笑いしたが、先輩の先祖が惨殺された事件を冗談で持ち出してニタッと笑ったのが21歳の「絶対王者」だ。少々不気味だったぞ。

 ネットに氾濫する羽生結弦に対する嫌悪のほとんどは男から。なぜか? 男なんちゅうものはね。完璧に完璧を演じて完璧だろどうだ! と言い放つ男が嫌いなんだよ。てめえは完璧にゃほど遠く、だらしないから、ヒーローは少々間が抜けてたほうが親近感が湧く。昔長嶋、今柳田。

 羽生結弦は完璧を実演し、自分を言葉で飾り付け、足も長いし顔も小せえ。そのうえ、まだ先があるから、さらにそれに磨きがかかろう。「きゃ~結弦いのち~~っ!」とか、短足で顔の大きい日本の男は妬いておるのだよ。存外熊のプーさんのぬいぐるみに囲まれて夢見たりしておるんだ。幼児返りするくせに、絶対王者だぞ~とかコキやがるんだ。子どもの力み返りに大の男が嫉妬してもしゃんめえよ、許したれや。

 絶対王者なんざ、裏を返しゃ裸の王様だ。ま、今から足を長くしようとストレッチとか始めても夜中に足がつるだけだ。よしとけよオッサンども。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし