著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

ザルツブルク南野拓実 日本代表復帰へ悲壮な決意を語る

公開日: 更新日:

 19歳でザッケローニ監督率いる14年ブラジルW杯の予備登録メンバーとなり、近未来の日本代表エース候補との呼び声も高かった南野拓実。16年リオ五輪にも主軸として出場し、初戦ナイジェリア戦で1ゴールを挙げて存在感を示したが、その後はハリルホジッチ日本代表に招集されていない。同世代のシュツットガルト(ドイツ)FW浅野拓磨、新天地ヘント(ベルギー)でデビュー戦ゴールを決めたFW久保裕也が、代表常連へとステップアップしていく中、オーストリアで直撃すると「何で俺を(日本代表に)選ばへんのや。俺は行ったら出来るで、っていう気持ちは強く持ってます」と語気を強めた22歳の点取り屋の胸中を探った。

 ◇  ◇  ◇

 ジュニアユース時代から足掛け8年過ごしたセレッソ大阪を離れ、2015年1月にザルツブルクへ移籍した南野。14―15年シーズンの後半戦だけで13試合3得点と、及第点の数字を残した。欧州2年目となった15―16年シーズンは「目標は2ケタ得点。他国リーグのビッグクラブにステップアップしたい」と語り、実際にシーズン10ゴールをマークした。噂されたドイツ移籍こそ実現しなかったが、本人が強いこだわりを持っていた16年リオ五輪出場はかなえた。

「真剣勝負の場で戦えたのはいい経験になったかな、と。ただ、グループリーグを突破できなかったのは実力不足でした。失点しても取り返す力があっただけに、(局面に応じて)しっかり守り切らないといけなかった。ボールを取り切るなど、細かい問題が大舞台で出てしまいましたね」と彼は悔しさを吐露する。

■試行錯誤しながら改善

 屈辱感と挫折感を晴らすべくザルツブルクに戻ったものの、シーズン開幕前後の重要な時期に1カ月もチームを離れた代償は大きかった。

 昨季に比べて出場機会が激減したのである。

「リーグの序盤10試合くらい丸々抜けることになった。チームが欧州CL出場に向けて大事な試合をこなしている中、自分がいなかったことがマイナスに作用したと思います。今季は4(DF)-3(MF)-3(FW)の右FWからスタート。途中から4-4-2のトップになりましたけど、最初は守備面で物足りないところがあったのかな、と。実際、試合にはハードワークや献身性を押し出す選手が出ていました。自分も試行錯誤しながら改善したことで(16年)11月後半から出場時間が増えましたね」

 昨年12月8日の欧州リーグ(EL)。対戦相手シャルケのベンチに座った内田篤人の1年9カ月ぶりの公式戦復帰に注目が集まったが、最前線から凄まじい勢いでボールを追いかける南野の姿が印象的だった。課題の守備を克服した時、欧州でのステップアップと日本代表定着の道が開けてくるはずだ。

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