著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

試合に出ず13億円「訴訟社会」は「契約順守」と背中合わせ

公開日: 更新日:

 大リーグの場合でも、2016年にカブスがジェイソン・ハメルに対して17年の契約を延長しない代わりに違約金200万ドル(約2億1800万円)を支払っているし、マリナーズも違約金100万ドルを支払って岩隈久志との18年の契約を破棄している。

 ハメルは翌年の年俸が1200万ドル、岩隈の年俸は1000万ドルであった。

 そのため、30代後半に入り成績の大幅な向上が望めない選手との契約を最低限の負担で解除するため、球団が違約金を支払ったと言える。

■多額の慰謝料を要求されるケースも

 一方、01年から03年にかけて1試合も出場しなかったにもかかわらず毎年1200万ドル(約13億800万円)以上の年俸を手にしたのがオリオールズのアルバート・ベルだった。

 膝の故障のために試合に出られなかったベルが03年に1300万ドルの年俸を得られたのは、オリオールズと結んだ契約書の中に、年俸の支払い条件として「大リーグの公式戦への出場」といった類いの規定を設けていなかったからだ。当初、球団はベルが大リーグの公式戦に出場できなかったことを理由に年俸の支給額の見直しを検討した。しかし、ベル側に「年俸を満額支払わないことは契約違反だ」と訴えられた場合、年俸だけでなく多額の慰謝料を請求されることは避けられない。そのため、オリオールズは3年間で3700万ドル以上の年俸をリハビリ中のベルに支払い続けたのだった。

 このように、ベルの事例などから「訴訟」は「契約の順守」と背中合わせということが分かるのである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?