著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

「悔いはない」村田修一の引退スピーチに感じた後悔の念

公開日: 更新日:

 村田修一の引退スピーチの言葉はなんとも感慨深いものがあった。

 まずは最終所属先であるBCリーグ栃木への感謝から始まり、そこからファンや両親、妻、息子たちへの思いを述べ、終盤に「未練がないと言えば嘘になるかもしれませんが、自分がやってきた30年間の野球人生に悔いはありません」と総括する。一見すると、引退スピーチの模範のようなありふれたフレーズばかりだが、だからこそ村田の無念が痛いほど伝わってきた。ありふれた言葉で大ざっぱに総括しないと収拾がつかないほど、彼の胸中は複雑だったのではないか。「悔いはありません」と言っておかないと自分の野球人生を肯定できないと思うほど、彼は苦く厳しい現役晩年を過ごしたのではないか。

 本来、村田は今季で引退するような選手ではない。全盛期ほどの強打はさすがに無理かもしれないが、まだまだNPBの球団でレギュラーを張れるくらいの実力はあるはずだ。当然、残り135本に迫った通算2000安打も、普通にプレーしていれば達成は間違いない。そういう一流打者が今季限りでの引退を余儀なくされたのは、彼の選手としての実力以外の部分、それは大人の事情も多分に含んだ複雑な巡り合わせ(詳細割愛)によるものだろう。少なくとも、多くのファンやマスコミはそういうモヤモヤした気持ちで、村田の引退スピーチに耳を傾けていたに違いない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  2. 2

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 3

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  4. 4

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  1. 6

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  2. 7

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  3. 8

    ポストシーズンの分配金が示す光と陰…一般職員の年収は約5万ドルで平均未満、“やりがい搾取”の一面も

  4. 9

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  5. 10

    《門田博光の巻》「打撃の求道者」は練習方法もケタ外れだった…僕が地獄を見た“10分”の要求

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁