著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

大坂なおみ“天然の無邪気さ”は過当競争の外だから保たれた

公開日: 更新日:

■方法はコピーでも異なる家庭環境

 女子テニスは、賞金の高騰に伴い、冷戦構造が崩れた90年代に低年齢化が加速した。グラフ、セレシュ、ヒンギス、シャラポワ……10代選手が用具開発をバックにチーム体制でパワーと技術を競い、現在に至っている。チーム戦の中で勝敗が優先されゲーム性が排除されたことで、プレーがギスギスしてきた。

 こうした過当競争を批判したのが、ビーナス、セリーナ・ウィリアムズの父リチャードだ。テニスはゴルフ同様に階級色が濃いクラブゲームで、黒人の競技人口は極端に少ない。リチャードが白人たちの競争の外で娘たちを育てた理由は、2つあっただろう。燃え尽きないようにという親心、そして恐らく秘密保持だ――真似されて、宝の山に黒人の運動能力がなだれ込むのも困る……。

 リチャードの真似をしたのが、ナオチ(大坂なおみのあだ名)姉妹の父レオナルドで、ナオチにジュニアの戦歴はない。しかし、方法はコピーでも家庭環境が違った。セリーナたちが育った西海岸コンプトンは米国有数の貧困と犯罪の町だ。ナオチの父は米国人でも少数派のハイチ系で母は日本人……争いを好まない天然の無邪気さも、過当競争の外で保たれたのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「NHKの顔」だった元アナ川端義明さんは退職後、いくつもの不幸を乗り越えていた

  2. 2

    永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない

  3. 3

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  4. 4

    元NHK岩田明子は何をやってもウケない…コメントは緩く、ギャグはスベる、クイズは誤答

  5. 5

    ウクライナ出身力士 安青錦がすべてを語った…単身来日して3年、新入幕で敢闘賞

  1. 6

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  2. 7

    奥さんが決断してくれた…元大関の小錦八十吉さん腎臓移植を振り返る

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    のんを襲った"後輩女優の二股不倫報道"の悲劇…カルピスCMめぐる永野芽郁との因縁

  5. 10

    Mrs.GREEN APPLEとディズニーのコラボに両ファン懸念…売れすぎた国民的バンドゆえの"食傷感"