著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

中日・岩瀬ほどの大投手がMVPに一度も選ばれなかった意外

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■淡々と確実に

 ちなみに、先述の佐々木は1998年の横浜優勝時にMVPに選ばれており、昨年、その岩瀬の年間最多セーブ記録を更新する54セーブを挙げて、ソフトバンクの日本一に貢献したサファテもMVPに輝いている。さらに岩瀬とともに中日リリーフ陣を支え、同じく今季限りで引退した浅尾拓也も11年の中日優勝時に最優秀中継ぎ投手のタイトルとMVPを獲得。一般的にリリーフ投手は先発よりも印象が薄くなりがちだが、この佐々木やサファテ、浅尾の他にかつての江夏豊(79年と81年にリリーフとしてMVP)もふまえると、やはり岩瀬にMVP経験がないのは意外な事実だ。

 しかし、これこそが岩瀬という投手の真骨頂だったのかもしれない。岩瀬は他の名クローザーとちがって、派手で鮮烈な印象を周囲に与えることなく、ごく当たり前のように中日の最終回のマウンドで淡々と確実な仕事をこなしてきた。その結果が前人未到の407セーブであり、それは決して記者の目を引かなかったことに価値がある。

 岩瀬はMVPなき名クローザー、MVPなき記録男であった。球界ではしばしば「記憶は色あせない」といった美辞を耳にすることがあるが、あれはちがう。本当に色あせないのは記録だ。

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