ヤクルト1位・奥川恭伸 佐々木朗希の163kmで見失った1カ月

公開日: 更新日:

奥川恭伸(ヤクルト1位)

「よく泣いていました」

 こう話すのは、奥川恭伸が宇ノ気小学校2年生のときから所属していた「宇ノ気ブルーサンダー」の広瀬勝巳代表(54)だ。

 今夏、甲子園を沸かせた奥川。決勝で履正社に敗れて準優勝に終わると、人目もはばからず涙を流した。その原点は10年前に遡る。

野球に対する負けん気が強い子でしたね。今はニコニコしている姿が印象的ですが、入ってきた頃から4~5年生までは、打たれたときに態度に出す。感情が表に出やすい子だった。試合に負けて泣くこともよくありました。当然、1人で毎試合は投げられないので他の投手が投げる日もあったんですが、それが悔しくて態度に出したり、味方がエラーをすると腹を立てることもあった。初めは感情が表に出ていることに本人は気付いていなかったんですが、こちらがそれを教えていくと、『野球は1人では勝てないんだ』ということを徐々に理解するようになって、6年生のときには積極的に声を出すようになりましたね」

■元高校球児の父とシャドー練習

 一方で、大人の目を気にする一面も。

「とにかくよく食べる子で、好き嫌いもほとんどなく、苦手だったのは辛いものくらい。中華料理屋に連れていくとラーメンにチャーハン、餃子、唐揚げをたいらげても平気な顔をしていました。『もうお腹いっぱいか?』と聞くと、最初は『はい』と言うんです。でも、『本当に?』ともう一度聞くと、『まだ食べられます』と。周りのことを気にして、遠慮していたみたい。そういう空気を読める子でもありました」(広瀬代表)

 野球を始めたきっかけは7歳上の兄、圭崇さんの影響だった。4歳のとき、両親とともに兄が出場する試合を見に球場へ行くとグラブをはめてベンチ裏で黙々と壁当てを続けていた。広瀬代表によると、「お兄ちゃんは主にサードで、弟と同じく気の強い性格。でも、ボールの捕り方は全然違った。お兄ちゃんは根性で捕りに行くけど、弟は優しくカバーに入るタイプでした」。

 父の隆さんは奥川と同じ宇ノ気中出身。金沢市立工業高校野球部では主将を務めた。ポジションは二塁手だったという。

「お父さんはとても真面目で野球に対して厳しい方でした。基本的に技術的な指導はお任せいただいていましたが、練習時間内でピッチングフォームが直らないときは、ご自宅でタオルを使ったシャドーピッチングを見てもらうようにしていました」(広瀬代表)

 建築会社でサラリーマンとして働く隆さん。土日はいつも息子の応援に駆けつけていたという。
 

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  3. 3

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  2. 7

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  3. 8

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  4. 9

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」

  5. 10

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  3. 3

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  4. 4

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  5. 5

    やす子の毒舌芸またもや炎上のナゼ…「だからデビューできない」執拗な“イジり”に猪狩蒼弥のファン激怒

  1. 6

    羽鳥慎一アナが「好きな男性アナランキング2025」首位陥落で3位に…1強時代からピークアウトの業界評

  2. 7

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    渡部建「多目的トイレ不倫」謝罪会見から5年でも続く「許してもらえないキャラ」…脱皮のタイミングは佐々木希が握る

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」