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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

先達への敬意なし…マラソンの不振はケニアのせいじゃない

公開日: 更新日:

 ロザ・モタが12月7日の奈良マラソンに来日した。1987年世界選手権、88年ソウル五輪の金メダリスト、かつての女子マラソンの女王だ。東京や大阪でも優勝し、パンチ佐藤がギャグに使ったほど知名度もあった。

 10年ぶりの来日で、前回はマラソンではなく、オリンピック招致の仕事だった。母国のポルトガルは、ブラジルの旧宗主国にもかかわらず、モタは前回大会のオリンピック招致では、リオデジャネイロではなく、東京に協力した。リオに軍配が上がったが、理由はマラソンだ。

 ヨーロッパ、特に保守的だったポルトガルで、まして女子マラソンは見向きもされなかった。女子マラソンが選手権大会に採用されたのは82年アテネの欧州選手権から。モタが出場を希望しても陸連は派遣せず、コーチの夫と車で3日かけて出掛け優勝した。

■東京の五輪招致に協力の理由

 86年の横浜国際女子駅伝に初来日。何もかもが違った。関係者が空港で出迎え、宿は一流ホテルで、新聞もテレビも大きく報道し、沿道には人垣が続き、声援がひっきりなしに飛んだ……まして女子マラソンで、世界中のどこにもこんな光景はなかったのだ。自分が選んだマラソンを日本は評価する――だから東京の五輪招致に協力し、そうした“愛情”は日本選手を刺激した。

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