織田淳太郎
著者のコラム一覧
織田淳太郎スポーツライター

1957年生まれ、北海道出身。スポーツライターとしてノンフィクション、小説の両分野で幅広く活躍。審判を主人公にした小説「ジャッジメント」のほか、「トレーナー」「捕手論」「コーチ論」「巨人軍に葬られた男たち」「もう一度あるきたい」「論争・長嶋茂雄」などの著書がある。

「ビールを50杯飲んでおけば」と笑った豪快エピソード

公開日: 更新日:

 高井さんは翌82年のシーズンを最後に、代打本塁打の世界記録を残して現役を退いた。

「わしがスタメンに執着し続けていたら、ここまでのインパクトは残せなかったやろうね。イチローみたいな成績を残せ言われても絶対に無理やし、普通の選手で終わっていたやろうね。代打人生でよかったと思ってるよ」

 引退後、高井さんは地元・西宮で居酒屋を始めた。ここでも「高井ノート」は生きていた。現役時代、遠征先の料理店で気に入ったメニューがあるたびに、料理人からその調理の仕方を聞き、克明にメモしていたからである。

 その後はスポーツ整体院を経営。しかし、阪神・淡路大震災でビルごと職場を失ったのを機に、地元ラジオ局の野球解説者を務める傍ら、ビル管理会社に勤務するようになった。

「人生、大変なこと、いろいろあるよ」

 “ブーちゃん”の愛称で親しまれた高井さんが、穏やかな笑みでこう口にしたことが忘れられない。

「けどね、神様、人間を不公平につくっとらんのよ。自分というものを冷静に見つめていると、どんな状況でも必ず道が見えてくるもんや。わしだって、本当は臆病者。そういう自分もちゃんと把握しとったし、そこに自分の生きる土壌が隠されていたんだから」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

  3. 3
    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

  4. 4
    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

  5. 5
    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

  1. 6
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 7
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  3. 8
    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  4. 9
    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

  5. 10
    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今

    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今