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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

全米OPテニスは東京五輪の“未来予想図” 可否判断の目安に

公開日: 更新日:

 フェデラーはこの機会に膝の手術を受けて来季に備えている。ナダルは34歳の誕生日(6月3日)会見で「現状では参加しない」と明言。ジョコビッチも随行員数制限に「無理」と反応した。テニスはいまやチームプレーで、錦織や大坂も専属コーチ、トレーナーと行動する。彼ら抜きではケガにつながると恐れる。

■ヨーロッパ勢が上位独占

 もう一つの難問が力関係だ。現在の勢力図は、3強に続きティエム、チチパス、ズベレフ、メドベージェフ……ヨーロッパ勢が上位15位を独占している。収束の進むヨーロッパから、混乱の続く米国への移動を躊躇するのは当然で、彼ら抜きに大会は成立しない。観客不在でも、3強不在はあり得ないのだ。トップ選手には4大大会とマスターズ大会への出場義務があるが、今回は〈コロナ〉という正当な欠場理由がある。

 昨年の優勝はナダル。全仏優勝12回の記録を誇る“クレーコートキング”が、9月末に延期しているパリに重きを置くのは無理からぬこと。それでもこう言う。

「大会は安全かつ公正でなければいけない。仮に1カ国でも出場できないような状態なら、再開すべきではない」

 意訳すれば、来年のオリンピックは開催すべきではないとなる。五輪をどうするかは、告示の迫る東京都知事選の大きな論点。全米という未来予想図に注目したい。

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