大坂なおみ全米2度目Vで稼ぎは? “BLM”貫き米財界が熱視線

公開日: 更新日:

「前哨戦からすべての試合をしっかり戦えた。とにかく一生懸命プレーしようと思った」

 2年ぶり2度目の全米オープンを制した大坂なおみ(22=世界ランク9位)はこう言った。

 日本時間13日、元世界ランク1位で初制覇を狙ったアザレンカ(31=ベラルーシ)との決勝戦は第1セットを1―6で落とした。「これまでは心が簡単に弱くなっていたけど、本当に戦いたいと思えた」と、第2セット0―2からの逆転劇。昨年の全豪以来、3度目の4大大会制覇だ。

 大坂は人種差別に抗議するため、決勝までの試合数に合わせ、黒人の被害者の名前が入った7枚のマスクを用意。公言通り、決勝まで7枚すべてを着用した。

■大手企業だけで22社

 米国では現在、「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」と呼ばれる黒人差別への抗議運動が各地で展開され、大坂や米プロバスケットボールNBAの選手らのアスリートが賛同している。同調する動きは米財界にまで及んでおり、多くの企業が支援を打ち出している。

 米サイト「ビルト・イン」によれば、8月中旬時点で、大手企業だけでも22社がBLMへのサポートを表明。支援策はさまざまだが、多くの企業が億単位の資金援助を行っている。22社にはソフトウエア、PCメーカー、情報通信、ITなどさまざまな業種が名を連ねており、いずれも世界的な企業だ。

■イメージ戦略に最適

 米企業がBLMに賛同するのは、人種差別撤廃に取り組む姿勢をアピールすることで、自社のイメージアップや販促につなげたい思惑があるからだろう。今回のBLMで業績拡大を狙う企業にとって、全米OPを通じて黒人の人権救済を訴え続けた大坂はイメージ戦略に起用するには最適な人材といえる。

 大坂は一昨年の全米で4大大会初制覇。翌年の全豪も勝ってグランドスラム連覇、世界ランク1位に上り詰めてからはスポンサーに名乗りを上げる企業が殺到した。現在は食品や自動車、化粧品メーカーや航空会社など15社とスポンサー契約を交わしている。

 15社のうち約半数は日本に本拠地を置く企業だし、それら以外も日本で馴染みのある企業がほとんど。中には大坂の抗議行動に関して「アスリートとしての成績や魅力は申し分ないので、いまのところは問題に上がっていないのですが……」と困惑した企業があるのは事実だ。

 日本の企業は“色”のついたキャラクターを嫌う。大坂にしても無邪気で無垢な部分が企業イメージに合致するからスポンサーになったというケースがほとんどだろう。大坂本人も「TIME」誌上で「アスリートはスポンサーを怖がって何も言おうとしない。私の場合も、ほとんどが日本のスポンサーで、彼らは私が言うことに興味はないし、腹を立てているかもしれない」と話している。

 とはいえ同誌で「私は自分が(黒人の)代表だと感じているし、だから負けられない」と公言して実際にビッグタイトルを手にしたインパクトのデカさは、いかにも“日本的”な価値観をも吹き飛ばしてしまうのではないか。

 加えてBLMを支援するような米企業はモノ言うアスリートに好意的なはずだし、米国は主義主張があってナンボの社会。これまで以上に大坂を支援する企業が増えるのは間違いない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々