著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大リーグ選手会が「世界最強の労働組合」である3つの理由

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 さらに、72年から81年まで5回のストライキを断行するなど、ミラーも選手会も、要求を現実のものにするためには安易な妥協はしないことを実際の行動で示したのだった。

 第2の特徴である「団結力」を象徴するのが、スト破りに対する厳格な対応である。

 94年に始まったストライキでは、95年のスプリングトレーニングやオープン戦に大リーグ契約を結ぶ選手が参加しなかった。そのため、経営者側は代替措置としてマイナーリーグの選手を昇格させた。

 95年にストが終結して公式戦が始まると、代替選手の多くが大リーグに昇格したものの、彼らは「スト破り」として選手会への参加が拒否された。経営者側による強制的な措置であったとはいえ、代替選手たちは「裏切り者」と見なされたのである。こうした結束力の強さは、経営者側にとっては脅威となる。

 第3の「資金力」を支えるのは、野球カードやビデオゲームなどのライセンス収入だ。

 選手会は各選手から肖像権の管理を一括して受任し、事業者からの契約料は選手会の活動の原資となる。

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