渋野スイング改造の大誤算…“らしさ”消え米長期遠征に暗雲

公開日: 更新日:

【明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント】最終日

「悪いなりに頑張ろうとやっていた」

【写真】この記事の関連写真を見る(21枚)

 渋野日向子(22)がオフから取り組んでいるスイング改造が機能していない。イン発進の最終日は、2オーバー38位タイから通算アンダーパーへの巻き返しが目標だった。

 しかし会場に強い風が吹き、スコアメークに苦労する選手が多かったとはいえ、3日間ワーストの77と崩れて通算7オーバー57位。3ホールに及ぶプレーオフを制して3勝目の稲見萌寧(21)とは13ストロークの大差が開いた。

 前週の開幕戦に続き、2戦連続で優勝争いに絡めず、直前に渡米する今季メジャー初戦「ANAインスピレーション」(4月1日開幕)に向けて不安が膨らむ一方だ。

■始動からスイングプレーンにズレ

 渋野が石川遼から教わったというスイング改造は、いま米ツアーではやりの左手を掌屈させてヘッドをシャットに上げるもの。トップではフェースが空を向き、ハンドファーストでのインパクトを目指している。左へのミスを防ぐためトップを肩よりも低い位置に収めて、昨年よりフラットな振りになった。

「渋野は腕が長く、ハンドダウンに構えている。それは悪くないのだが、アドレスですでに手首が親指側にコックされており、本来ならシャフトが立って上がるのが自然です。ところがフラットに上げており、テークバック始動からスイングプレーンを外れている。あの構えから横振りなら引っかけも、右プッシュのミスも出る。スイング改造ではなく改悪。早く気付かないと取り返しのつかないことになる」(評論家・菅野徳雄氏)

コンパクトになり消えた思い切りの良さ

 多くの女子プロを指導してきた田原紘プロも、「渋野らしい思い切りの良さが消えてしまう」と心配する。

「小さいころからソフトボールのピッチャーを経験し、ボールを投げる指先の感覚が鋭く、それがゴルフにも生かされて普通の女子プロとは違うスイングでも結果を残してきた。いま方向性重視といってスイングをいじって、フラットでコンパクトになっている。それではボールが飛ばない。クラブをどんどん振って、ボールを飛ばさないとスイングは小さくなってしまう。さらに飛ばなくなると下半身のフットワークから力強さまで失ってしまう。ゴルフのスイングは形ではなく、クラブを振ってナンボです。おそらくルーティンが気になって、スムーズな動きができなくなっている。渋野の良さを消してしまうスイング改造のような気がする」

 男女問わず、日本人プロは海外試合を経験すると、プレースタイルの違いを痛感してスイングを変えるケースが多い。ところが、世界で戦うためのスイング改造からスランプに陥って、ゴルフがダメになったプロも多い。いまの渋野には、そんな兆候が表れているのだ。

■LPGAメンバー優先

 渋野はANAインスピレーションに出場するため今月末から長期の米国遠征を計画している。

 海外からの帰国者は2週間の自主隔離があるため、ANA終了後も米国にとどまり、4、5月は主催者推薦をもらって米女子ツアー出場を目指し、全米女子オープン(6月3日開幕)まで米国に腰を据える予定もある。

 さらに、その3週間後には全米女子プロ選手権(同24日開幕)が控えているので、海外遠征は3カ月に及ぶことも考えられる。

 渋野は今、東京五輪代表より、来季の米女子ツアー参戦に意欲を見せる。メジャー優勝は厳しいが、推薦出場でも試合に勝てば来季のツアー切符は手に入る。それがかなわなくても、長期滞在により米国のコースに慣れることはでき、12月のQスクール(ツアーテスト)に向けて備えられる。

 しかし、渋野が思い描くように事が進むだろうか。

 ボロボロのスイングで渡米しても、今のところチェックし、指導してくれる専属コーチがいない。日本よりコース設定が難しい本場メジャーに出たところで予選落ちが濃厚。主催者推薦は皆無ではないが、米女子ツアーは基本的にLPGAメンバーの出場が優先され、推薦枠はわずかだ。キャンセル待ちやマンデートーナメントもしかり。LPGAメンバー以外の選手が出場するのはハードルが高い。

 しかも、昨年はコロナ禍で中止になったHSBC女子世界選手権(シンガポール)や、ホンダLPGA(タイ)なら渋野も出場できるかもしれないが、今年もコロナの影響で開催は微妙という声もある。

 米国に長期滞在しても試合に出られず、出たところで予選落ちでは世界ランクに反映されるポイントを稼げない。その間、国内で古江彩佳(20)や稲見といった若手や実力者の鈴木愛(26)がポンポンと勝ち続ければ、世界ランク15位(日本人2位)から急降下。五輪出場もかなわない。誤算ばかり、とならなければいいが。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • ゴルフのアクセスランキング

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  3. 3

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  4. 4

    度重なるトラブル…松山英樹の「マナーの悪さ」海外でも評判に

  5. 5

    前代未聞の壮絶不倫・当事者のひとりがまたも“謎の欠場”…関係者が語った「心配な変化」とは???

  1. 6

    笹生優花、西郷真央、原英莉花らを輩出したジャンボ尾崎アカデミーは「ゴルフ教室」にあらず

  2. 7

    内部で新たな不倫騒動発覚!日刊ゲンダイの問い合わせには「ゼロ解答」、お粗末フジ会見と酷似

  3. 8

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ

  4. 9

    日本女子5人目のメジャー制覇! 西郷真央を“職人”たらしめる「ゴルフ脳」と逃げない心

  5. 10

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状