松澤知加子プロ<2>14歳で中村寅吉先生から「プロになれ」

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松澤知加子プロ

 2021年日本女子ツアーは松澤知加子プロ(53)と同じホリプロ傘下の若手女子プロが活躍している。

 森田遥(24)が初戦「ダイキンオーキッド」から優勝争いに加わり2位となり、翌週の「明治安田生命レディス」でも3位と好調。

 また、先週の「ヤマハレディース」4位の鶴岡果恋(21)は、「明治安田生命レディス」12位、「Tポイント×ENEOS」11位と今年に入って好成績を残している。

 松澤はオフに鶴岡、植竹希望(22)、立浦葉由乃(24)ら若手プロを率いて宮崎県内で10日間の合宿を張った。

「合宿とか行かないの? と聞いたら、3人とも『行きたいです~』って。トレーニングは各自に任せ、自分に何が足りないのか、どんなことをしたいのか自分で考えてほしい。同年代のライバルでもある仲間が何を考えているかも知り合ってほしい。そういう意味で今シーズンには自立する選手になってほしい、と伝えました」

 松澤が率いる「チームホリプロ」メンバーはオフトレ効果が早速表れたのだ。

 幼い頃から運動能力に優れ、中学時代にはバスケットボールでの高校進学を目指した。陸上競技会に駆り出されれば短距離や走り高跳びで神奈川県内上位に顔を連ねた。

スイングにも「代名詞」は表れた

 ゴルファーへの転機は14歳の時だった。

「父に連れられて中村寅吉先生の前でゴルフボールを打つところを見てもらったら、『オメエ、うめえな。プロになれ!』と言われて、私より周りの方が先に盛り上がり、高校もゴルフ部のある学校(向上高)に進むことになりました。部活が楽しくゴルフが好きになったのはそれからですね」

 松澤の代名詞「格好良さ」はゴルフスイングにも表れた。身長167センチの脚長体形を生かし縦振りスイングを身につけた。

 実は中村寅吉プロとの出会い、その拠点である伊勢原CCはピンポイントでのコース戦略が求められた。

「ティーから見えるフェアウエーは隙間ほどです。目の前には高い枝があり、それを越えるためには、クラブを縦に振って方向性と高さや距離を出す必要があったのです」

 ツアー初優勝を果たした富里GC(千葉)では、中村寅吉プロが見守った伊勢原CCで磨いたショットが存分に生きた。

「今の若手プロには日本でプレーして、JLPGAの価値をさらに高めてほしいですね。日本のツアーを米ツアーよりも強くするくらいの意識を持ってもらいたい。メジャーの全米女子オープンや全英女子オープンで勝つことも素晴らしいけど、日本女子オープンや日本女子プロ選手権で勝つことも同じくらいすごいことなんです」

■今後の人生は…

 そして、自身の今後のゴルフ人生については、「まだ鶴岡や植竹らと一緒にトーナメントに出たいという気持ちは残っていますが、現実的に考えると、今は違うステージへ向かう時期。ゴルフ人生のはざまなのかなと思います」と語った。=つづく

(構成=フリーライター・三上元泰)

▽松澤知加子(まつざわ・ちかこ) 1968年1月26日生まれ、神奈川県平塚市出身。向上高卒。日本プロゴルフ界の第一人者・中村寅吉プロ(故人)の最後の内弟子。15歳からゴルフを始め、89年プロテスト合格(59期生)。愛らしいルックスで人気となり、94年「五洋建設レディースカップ」優勝。現代の女子プロゴルフ隆盛につながる「元祖アイドルプロ」として活躍。結婚後は2人の男児をもうけながらトーナメントにも参戦。ゴルフ中継のラウンド解説、近年は同じホリプロ傘下の若手女子プロ選手の指導やジュニア育成に励む。身長167センチ。

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