新庄は野村監督やヒルマン監督の“ええとこどり”の野球をすると思います

公開日: 更新日:

広沢好輝(元ヤクルト、阪神)#2

 現役時代の新庄は、「隠れて努力をしていた」と言われていますが、陰ながら練習しない選手はいない。僕だってしていた。でも成果が出なかった。努力は嘘をつかないというけど嘘はつく。阪神時代、野村克也監督が「正しい努力をしない限り、それは努力とはいわない」と言っていた通りだと思います。

【写真】この記事の関連写真を見る(55枚)

 新庄の場合、並外れた身体能力も大きかった。他の選手がやったら間違いなくケガをするということでも、故障につながらない。ある程度の練習だけでも、キャンプに入るとダントツだし、大きなケガもしない。普通の選手にはとても真似ができないのは事実。新庄と一緒にブレークした亀山努さんも、そう言って笑っていました。

 だから、2001年に移籍したメッツでの1年目に左太ももを肉離れしたときは思わず、「おまえでもなるんやね」と言った。メジャーのグラウンドは土が硬くて粘土質。スパイクで踏み込むときに太ももの裏側に筋肉が凝縮する。患部を触ったら、その部分の筋肉が陥没していた。

 大きなケガをしても、大げさにはしない。大丈夫かと聞いても「まあまあ」という感じ。挫折とか苦労とか、つらい面は四六時中一緒にいた僕にも見せなかった。新庄の涙を見たのは(元妻の大河内)志保ちゃんくらいやったかもしれません。

英語はからっきし

 監督としては、オーソドックスだけど破天荒、破天荒だけどオーソドックスな野球をするんじゃないかと思っています。意表を突いたサプライズを見せてくることもあるだろうし、かと思えば、相手が奇策を警戒している中で緻密で当たり前のことをしたり。自分の感性はもちろん、阪神時代の野村克也監督や日本ハム時代のヒルマン監督、これまで教わった人たちの「ええとこどり」をして指導に当たり、采配を振るんじゃないか。

 唯一、新庄のアカンかったところといえば、英語が全然しゃべれないところ。ケン(岩本賢一氏=現日本ハムチーム統括本部副本部長兼国際グループ長)とコジ(小島克典)が通訳をしていたけど、ケンは「ひとりではどこにも行けない。遠征がツラい……」とこぼしていました。

 今思えば、「大リーグは3年」と決めていたから、英語はそこまで必要ないと思っていて、自分の中で人生設計ができていたのかもしれません。(この項おわり)

▽広沢好輝(ひろさわ・よしてる) 1971年、三重県生まれ。三重県立明野高から89年ドラフト6位でヤクルトに入団。96年に阪神へ移籍。新庄と同学年ということから親交が深く、現役引退後は練習パートナーを務める。現在は三重県で家業のリサイクルショップを経営。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  3. 8

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  4. 9

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 10

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?