ワリエワは無冠で“強制引退”か…悲劇の15歳も使い捨てるロシア・フィギュア界の深い闇

公開日: 更新日:

 無冠のまま、氷の上から去ることになるかもしれない。

 17日のフリーで何度もジャンプミスをするなど、141.93点で、82.16点のショートプログラム(SP)と合わせて4位となった、ロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(15)。金メダル候補といわれながらもドーピング疑惑で世界中から批判を浴びただけに、平静なスケーティングができなかったのだろう。演技後は両手で顔を覆い、キス&クライでも涙で顔を歪ませていた。

【写真】この記事の関連写真を見る(23枚)

 そんなワリエワに待ち受けるのが、ロシアの「切り捨て」ではないか。

 今大会に出場したワリエワ、トルソワ、シェルバコワを指導するエテリ・トゥトベリーゼ・コーチは通称「鉄の女」。厳しい指導のみならず、スケート場を「工場」、選手を「原材料」と表現する。その言葉に従えば、ワリエワは「製品」だろう。つまり、ドーピングという「いわく」がついた「製品」は、もはや用済みになっても不思議ではないのだ。

 そもそも、近年のロシアのフィギュア選手は、五輪に限れば1大会限定の「使い捨て」が多い。2018年の平昌五輪金メダリストのザギトワはまだ19歳ながら、今季の強化指定メンバーから除外。現在はインフルエンサーとして、テレビ番組の司会やモデル、タレントとしても活躍し、北京五輪も取材で訪れている。

ラジオノワ「16歳は決して若くない」と衝撃発言

 ザギトワに加えて同じく平昌銀のメドベージェワ、14年ソチ五輪金のソトニコワも、五輪に出場したのは1回のみ。ただでさえ選手寿命が短く、それでいて候補となる「原材料」は山ほどある。世界選手権で活躍したラジオノワは15歳の時、「私はもうすぐ16歳だから、決して若くはないんです」と発言し、衝撃を与えた。

 ロシアのアスリート養成施設「サンボ70」は国家の全面的な支援を受けている。つまり、すべてにおいて政府の息がかかっているも同然なのだ。

 ワリエワが表彰台を逃したことで、予定通りメダル授与式も行われる。ロシアにとっても、これ以上の波紋を広げずに済んだ。

 ワリエワのドーピングがシロかクロか、本人が現役続行を希望するか否かにかかわらず、このまま表舞台から消える運命だとすれば、返す返すも恐ろしい国である。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁