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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

テキサス州で銃乱射事件が起きても…米球界が規制推進に積極的にならない決定的理由

公開日: 更新日:

 状況は大リーグにおいても変わらない。

 ヒューストンからユバルディまで自動車で約5時間の距離にあるアストロズは、事件当時に本拠地ミニッツメイドパークでの試合で選手や監督、コーチらが犠牲者に黙祷した。また、大リーグ機構も被害者の家族や友人らに弔意を示し、ともに歩む決意を示す談話を発表している。

 また、ヤンキースとレイズは、事件の翌日の試合で銃が米国社会に及ぼす影響をSNSに投稿するとともに、試合の中継の中でも同様の話題を取り上げた。球団ごとの取り組みはあっても、対戦する両球団が連携して銃問題の啓発を行うのは珍しい出来事だった。

 しかし、アストロズ、ヤンキース、レイズ、あるいは機構の声明や取り組みを見ても、犠牲者への弔意や銃社会への警鐘はあっても、銃規制の推進を表立って求める表現はない。

 これは、球界には狩猟を趣味とする選手が多いから、あるいは銃規制反対が基本的な姿勢の共和党を支持する経営者が多いから、といった事実ばかりが原因ではない。「銃規制は固有の権利の侵害」という米国社会の素朴な信念を念頭に置いた結果なのだ。

 その信念は素朴であるだけに力強く、乗り越えるのが難しいことを、ユバルディ事件は改めて示したのである。

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