菅野徳雄
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菅野徳雄ゴルフジャーナリスト

1938年生まれ。岩手県出身。立教大卒。1964年からゴルフ雑誌の編集にたずさわり、中村寅吉をはじめ、河野高明、安田春雄、杉本英世、尾崎将司など、数多くのトッププレーヤーを取材。わかりやすい技術論と辛口の評論で知られる。「ゴルフ・トッププロのここを学べ」「ゴルフスウィングの決め手」「即習ゴルフ上達塾」などの著書がある。

全米女子OP予選通過は5人のみ…タフなメジャー会場を攻略できない日本選手の限界

公開日: 更新日:

 今年の「全米女子オープン」は米ノースカロライナ州のパインニードルズ・ロッジ&ゴルフクラブ(6638ヤード・パー71)で開催された。

 日本選手は15人が出場し、予選を通ったのは5人だけ。昨年大会は笹生優花畑岡奈紗のプレーオフだったが、今年は小祝さくらの通算3オーバー・20位が日本選手のベストだった。

 大会直前に帰国してブリヂストンレディスに出場して予選落ちした注目の渋野日向子は全米でも予選を通れなかった。

 パインニードルズはフェアウエーが広くてラフもないので伸び伸びと振れるのだが、傾斜があって、硬くて大きなグリーンを攻略できる日本選手はいなかった。

 会場のすぐ近くにある、全米オープン会場として知られるパインハーストリゾート・ナンバー2と同じ、名匠ドナルド・ロスの設計である。フェアウエーは硬くて、ボールがよく転がるのが特徴だ。

 しかし、グリーンは弾道の高いキャリーボールを打たないとピンの近くに落としても転がってグリーンをオーバーしてしまう。渋野のような弾道の低いアイアンショットではグリーンに乗せても止まらない。

 グリーンの奥は下っていて、きれいに芝が刈り込まれているので、少しでもグリーンをオーバーすると下まで転がり落ちてしまう。だから、グリーンをオーバーしたらまずパーは取れない。

グリーンに止めるキャリーボール

 パインニードルズのグリーンは弾道の高いキャリーボールを要求している。リンクスはグリーンの手前から転がして乗せるゴルフが合っているけれど、特に今回のような米東海岸のコースはキャリーボールを打って、上からピンが立っている面に落とさないとバーディーチャンスにつかない。

 渋野はトップの位置が低いだけでなく、シャフトも寝かせているのだから理解に苦しむ。会場が上から落とすアイアンショットを要求しているのだから、トップでシャフトを立ててグリップエンドを下に向けなければならない。

 かつて、ジャンボ尾崎が大スランプに陥ったとき、ゴルフ雑誌の企画で戸田藤一郎に教わったことがある。

「トップの位置は低くてもいいけど、バックスイングでシャフトを立てたら、フィニッシュでもシャフトを立てないといけない」

 そう言われた直後の試合で優勝してからジャンボの黄金時代が始まった。「俺のスイングはアメリカで覚えたものだ」と言うのが戸田の口ぐせだった。戦前、米西海岸で行われていたウインターサーキットに参戦した戸田はハリウッドオープン2位など好成績を挙げている。

「アメリカのトップクラスが練習しているときは球を打たずに見ておいて、みんなが終わってから練習した」と言った。だから「アメリカで覚えた」のだ。

 ジャンボの愛弟子で今年5勝している西郷真央は全米女子オープンが終わっても帰国せず、次のメジャー(23日開幕のKPMG全米女子プロ)まで現地に残る。単に出場資格があるからアメリカに行くのではなく、自ら米ツアーに飛び込んでいかないと世界で勝つことはできない。世界で勝つには早く日本を飛び立ったほうがよい。

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