回転寿司バイトで話題のトランポリン森ひかる「行動力の原点は母が命名した“今すぐ病”」

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 新天地での再スタートを切った。

 17日、トランポリンの世界選手権(11月、ブルガリア)の代表最終選考会が始まった。東京五輪代表の森ひかる(22)は5月の1次選考会を2位で通過。最終選考での代表入りを目指している。

 森は1カ月前、「プロ転向」を宣言。「TOKIOインカラミ」との所属契約を発表した。これまで通り日本体操協会の強化指定選手として協会から補助金を受け取っていることから、厳密には「プロ」にあたらないというが、当初は事実上の「トランポリン界初のプロ選手」として話題になった。

 日本におけるマイナー競技の場合、高校や大学卒業後も職員として学校に残ったり、日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援サービス「アスナビ」を通じて就職することも少なくない。新しい道を切り開いたワケを尋ねると、こう答えた。

「社会人として競技を続けていくうえで、アスリート雇用かプロかは特に決めていなかった。社会人としてのスキルも付けていきたいと思い、アスリート雇用の道も検討していたが、勤めていなくてもビジネススキルは養えると思い、スポンサードで競技を続けることにした。(進路を決めるにあたり)アスリート雇用の経験がある先輩や、スポンサー契約に携わっている方々に話を聞いて、自分自身がどちらに向いているのかを考えた。雇用先を見つけるのもスポンサーを見つけるのも、ものすごく大変なことだと感じ、社会人アスリートへのリスペクトが高まりました」

「普通のやり方だと思って」企業へ直談判

 今年2月、大学卒業を目前にしながら進路は白紙だった。すると、森は所属を志望する企業をピックアップ。マネジャーやスタッフを介さず自ら営業メールを送信したことも耳目を集めた。

「インカラミさんへのつてがなかったのもあるが、自分で動いた方が早いし、意思が伝わると思って行動しました。マネジャーさんをつけたこともなかったし、これが普通のやり方だと思って行動したところもあります」

 営業メールの文面は大学の先輩に何度も文章を添削してもらったのちに送信したという。並外れた行動力はどこから来るのか。

「『今すぐ病』とよく母に言われていたくらい、やりたいと思ったことはすぐにやるタイプ。やってダメでも、やらないことの方がストレスもたまるし、後悔もしてしまうんです」

 森の存在がきっかけで競技としてのトランポリンを知った人も少なくないだろう。トランポリンは日本においてまだ「マイナースポーツ」。自分自身が広告塔として知名度を上げたいという思いはあるのか。

「もちろんあります。それが競技を続ける理由のひとつ。トランポリンの魅力を、もっと多くの人に感じてもらいたいし、そのために何ができるのかを考えながら競技に取り組んでいきたい。競技との両立は大変だが、今の私ならトランポリンをもっと広められると思うし、いろいろなことにチャレンジすることで、自分の成長にもつながると思っています。他の競技に比べれば、将来への不安はありますが、今はそこまで気にしていない。できることに最大限トライしていきます」

 トランポリンが初めて五輪競技として採用されたのは2000年シドニー五輪。その1年前、森は東京都で誕生した。4歳から競技を始めて18年、地元・東京で五輪の舞台に立った。しかし、金メダル有力といわれながら予選敗退。「心に大きな傷をつくった」という。

 現役引退が頭をよぎる中、「どうしてもやってみたかった」という人生初のアルバイトに挑戦。選んだのは金沢市内の回転寿司店でのレジ打ちだった。

「もしかしたら就職をしてしまうかもしれない。最後のチャンスだなと思った。トランポリンしかしてこなかったから、何でもいいから他のことにチャレンジするよう意識している。アルバイトをしたのもそういった思いからです。友達と遊んだり、休んだり、好きなように食べたり、自由にやりたいことは全てやった。いろんなことを経験したことで、やっぱりトランポリンは楽しいんだという気持ちだったり、頑張ることっていいな、ステキだなと」

 パリ五輪は2年後に迫っている。

「五輪に出ることは簡単ではない。楽しいと思うこと、やりたいことに挑戦することで、五輪出場を含めた結果がついてきたらうれしいです」

 持ち前の好奇心で東京五輪の雪辱を果たす。

(書面での回答をもとに構成しました)

森ひかる(もり・ひかる) 1999年7月7日、東京都生まれ。4歳でトランポリンに出合い、2013年に史上最年少の14歳で全日本選手権優勝。金沢学院高時代の高校選手権2年連続3冠、金沢学院大時代の世界選手権ペアの金メダルをはじめ、女子トランポリンの第一人者として活躍。19年世界選手権の団体で史上初の優勝、個人でも男女を通じて日本勢初の金メダルを獲得する快挙を達成した。

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